現役ドラフト“番付発表” 横綱級の活躍見せる選手は…12人の現在地を追う

[ 2023年5月22日 21:34 ]

現役ドラフトで阪神に移籍し活躍を見せる大竹
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 昨年12月、出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させるための現役ドラフトが、初開催された。開幕から1カ月半以上がたち、環境を変えたことで新天地で期待以上の活躍を見せる選手たちがいる。リーグトップの5勝を挙げ、防御率0・48の阪神・大竹耕太郎投手(27)を筆頭に、多くが1軍でプレー。昨年1号生として指名された12選手たちの現在地を追った。(プロ野球取材班)

 現役ドラフト制度の狙いを体現している。ソフトバンクから阪神に移った大竹は6試合に先発して、リーグトップの5勝。37回2/3を投げ、2失点しかしていない。規定投球回にわずか2回1/3足りないだけで、防御率0・48は“隠れ1位”と言っていいだろう。首位を走るチームの快進撃に不可欠な存在だった。

 「この制度が選手にとってポジティブな機会というイメージがつくように活躍したい」。ここ2年は勝利がなかったが、既に19年の自己最多の白星に並んだ。環境が変わり、新たな出会いをプラスに変えた。西勇から登板前日の過ごし方に助言をもらい、気負わないようあえて外食に行くなど過ごし方を変えた。青柳とはキャッチボールを行い、自分にないものを吸収した。

 その阪神から西武へ移った陽川は、19日のソフトバンク戦で移籍初打席で本塁打した。「他球団の現役ドラフトで指名された選手の結果をずっと見ていて、刺激をもらっているし、負けたくない」と相乗効果を口にした。中日・細川は4月23日から3番に定着。大器と期待されたDeNA時代は6年間で通算41安打だったが、今季既に42安打と2カ月足らずの間に上回った。「今年1年間でどんな数字を残せるか。楽しみだなと思います」と語る。広島の戸根は貴重な救援左腕として13試合に登板し、1勝3ホールドで防御率3・27。現在は2軍再調整中だが、巨人・オコエは4年ぶりの開幕スタメンをつかみ、4月11日の阪神戦では5年ぶり3安打でお立ち台に上がった。「人生を変えたくて頑張っている」と声を張り上げ、原監督は「こうして戦力になる人が出てきているということは、意義があったこと」と制度について口にした。

 ここまで1軍出場がない選手は2人だけ。チャンスを結果に変えた選手たちは数多い。システム自体には改善の余地はあるだろうが、出場機会に恵まれない選手たちの可能性は、1号生が残す結果が積み上がるほど、大きく広がっていく。

 ▽現役ドラフト 出場機会に恵まれない選手の移籍をうながすため、昨年12月9日に初開催された。12球団は指名対象として、2人以上の支配下登録選手のリストを提出。それを基に、12球団が獲得希望選手1人を議長に通知する。この「人気投票」での票数が暫定指名順位となり、1番目の指名権を獲得した球団から指名を繰り返し、基本的に選手を獲得された球団が次に指名権を得る。既に指名を終えた球団の選手が指名された場合、まだ指名していない球団のうち暫定指名順位が上位の球団が次の指名を行う。かつては同様の趣旨から70年から72年にかけて選抜会議(トレード会議)、90年にはセレクション会議が2度行われたが、定着しなかった。

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