「下克上」指揮官がセンバツに“M1” 東福岡・伊藤義弘監督の積極采配「生徒が応えてくれた」

[ 2022年10月24日 06:00 ]

秋季高校野球九州大会1回戦   東福岡7-0宮崎商 ( 2022年10月23日    コザしんきん )

<東福岡・宮崎商>積極的な采配を見せた東福岡の伊藤監督
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 来春の選抜大会の重要な参考資料となる高校野球の秋季九州大会が開幕し、1回戦4試合が行われた。東福岡(福岡2位)は7―0で宮崎商(宮崎1位)に7回コールドで快勝した。ロッテの中継ぎとして通算257試合に登板し、2010年の日本一に貢献した伊藤義弘監督(40)は積極的な采配でチームをベスト8へ導いた。

 南国沖縄で東福岡が7回コールド発進し、復活ののろしを上げた。指揮を執っているのはロッテで中継ぎとして活躍し、10年の日本シリーズでは胴上げ投手にもなった伊藤監督だ。就任3年目で初の甲子園へ“M1”とし「僕が思ったゲーム展開に生徒が応えてくれた」とねぎらった。

 初回から攻め立てた。先頭の1番・和田宙大(ひろと、2年)が中前打で出塁すると、2番・藤瀬開登(2年)は捕手前へバント安打。6番・岩崎永煌(はるき・1年)の中前2点打などで3点を先制した。5回も先頭の和田が出塁し、再び藤瀬のバント安打とVTRを見るかのような攻撃から、決定的な4点を追加した。伊藤監督は「初戦という緊張感がある中、どう相手バッテリーのメンタルを揺さぶれるかと思った」と狙いを語った。

 打撃では今春からOBでソフトバンクなどで通算131本塁打の吉村裕基氏から月に4回ほど指導を受ける。4安打の活躍だった和田は「(打席での)間の取り方を大事にしよう」とアドバイスを受けた。「投手にタイミングを合わせるのでは無く、自分の間合いで」との言葉を胸に練習から意識する。伊藤監督は「打撃面だけでなく、リードの仕方、守備でのポジションの取り方など話し合いながらチームづくりをしています」と話した。

 チームの強化に他の部活動の力も借りた。和田ら選手数名は冬場に週3回ウエートリフティング部の練習に参加。「はじめは全く上がらなかった」と言うスクワットは140キロが上がるようになって「打球の質が変わりました」と胸を張る。

 26日の準々決勝の相手は大分商。勝てば07年夏、センバツならば吉村氏が4番で出場した01年以来22年ぶりの甲子園へ“当確”ランプがともる。「僕が頑張ってもいけないから。おまえらが頑張れと言っています」と伊藤監督。12年前のこの季節、日本一の中心に居た男は、自ら勧誘した世代の2年生を中心に再び、頂上を目指す。(杉浦 友樹)

 ◇伊藤 義弘(いとう・よしひろ)1982年(昭57)6月2日生まれ、福岡県出身の40歳。東福岡2年時の99年夏に甲子園に出場。国学院大、JR東海を経て07年の大学・社会人ドラフト4巡目でロッテに入団。16年限りで現役引退。通算257試合に登板し、6勝13敗1セーブ71ホールド。防御率3.83。右投げ右打ち。17年から日体大大学院に進み、教員免許を取得した。

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