阪神・原口 CS初安打が決勝打 “生きる姿”に矢野監督も感銘「可能性広げられることを学んだ」

[ 2022年10月11日 05:15 ]

セCSファーストステージ第3戦   阪神3―2DeNA ( 2022年10月10日    横浜 )

セCS1<D・神>6回1死二塁、原口は左前に勝ち越し適時打を放つ(撮影・北條 貴史)
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 チャンスでの勝負強さは、1打席にかけてきた阪神・原口の真骨頂だ。6回1死二塁。2番手・入江がフルカウントから投じた154キロを左前へ運んだ一打は勝負を決める適時打。ベンチも、左翼席の虎党も沸いた。

 「少ないチャンスで、本当にここしかないと思った。全員でなんとかしようというイニングだったので、ヒットが1本も出ていなかったけど、ここだなと思って。いい集中力で打席に立てたと思う」

 直前に4番の大山が犠打を失敗した。混沌(こんとん)とした流れでの大仕事は、打順に関係なく1点にこだわるチームの姿勢に応えようとする気持ちから生まれた。CS通算16打席目での初安打で、ファイナルS進出へと導いた。

 矢野監督は「執念の男なんでね。ああいうところで、やってくれるといつも思っていた」と、さも当然のように受け止めた。2戦目までの無安打でも信頼は揺らがず、5番起用を続けた。

 賛否を呼んだ今春のキャンプイン前日の監督退任発表。異例の公表の裏には、監督就任1年目を迎えた19年1月24日に大腸がんを公表した原口の存在があった。野球人生どころか、人生を左右しかねない病気を乗り越えた姿に感銘を受けた。

 「フミ(原口)は病気から帰ってきた時にさらにすごくなっていた。覚悟を決めて生きることで、可能性を広げられるということを学ばせてもらった。監督という仕事を全うしようと考えた時に、きょうという日は戻ってこないという思いでグラウンドに立つことで、何かを変えられるんじゃないかと思った」

 当たり前だと思っていた日常が、かけがえのないものだと気付かされた。一試合一試合に全力を尽くす。同じ思いを持った2人の戦いは、まだ終わらない。(倉世古 洋平)

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2022年10月11日のニュース