プロ野球選手のハードすぎる移動 レギュラーシーズン4万キロ超の道のり経て、日本一へ

[ 2022年10月11日 08:00 ]

パCS1<ソ・西>ファーストSを突破し、スタンドのファンにあいさつする藤本監督(中央)と選手たち
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 プロ野球選手の移動はこんなにも過酷なのか――。ソフトバンク担当2年目の記者は今季、初めて優勝争いを経験。遠征取材も増えた。そこで痛感したのがビジターゲームでの疲労感。選手はゲームを終え、飛行機や新幹線での移動は当たり前だが、実際に体感すると壮絶なものだった。

 9月10日からの11連戦。チームは福岡―大阪―福岡―仙台―大阪―札幌―福岡の総距離約5168キロメートルを飛び回った。同11日オリックス戦(京セラドーム)を終えると、選手は慌ただしくスーツに着替え、新幹線で帰福。そして12日からは西武3連戦(ペイペイドーム)。3連戦目の14日ナイターゲームに勝利し、自宅に着いたのは24時前だった。翌15日は10時の空路で仙台(楽天生命)に移動し、そのまま18時プレーボールに向けて準備するなどハードスケジュール。コンディションを調整するのは簡単ではなかったはずだが、チームは6連勝を含む7勝4敗。「優勝」の二文字に懸ける執念を感じた。

 少し前になるが、5月10日は宮崎での西武戦が雨天中止。選手は翌11日の西武戦(ペイペイドーム)に向け、飛行機で移動したが、藤本監督はバスで帰福。「僕らが飛行機で帰って、選手がバスで帰ったら疲れるじゃない。僕らはなんぼ疲れてもいい。(11日の)11時ぐらいに博多に帰ってきたかな。3軍時代は8時間の移動もありましたから、全然バス移動って大変じゃない」。身を削って、選手ファーストを貫いた。そして、この試合で東浜がノーヒットノーランを達成。指揮官の「男気」が伝わったのかもしれない。

 8月4日の日本ハム戦は延長12回引き分け。試合時間は4時間57分。記者が札幌ドームを出る時には既に日付は変わっていた。そして翌5日は午前11時の便で福岡に戻り、移動ゲーム。藤本監督は試合前、「俺もしんどい。昨日約5時間ゲームで、ご飯食べて寝たのが夜中1時半、2時くらい。今朝は7時半に起きてるわけでしょ。なかなか体も重いと思う。今日の練習は軽めにして、試合に万全にいってくれということでやってます」と本音を漏らしていた。

 レギュラーシーズンは4万キロ以上を移動して戦い抜いた143試合。最終戦で惜しくも2年ぶりのリーグ優勝は逃したが、まだまだ戦いは終わっていない。本拠地で戦ったCSファーストSは西武に2連勝で突破。いよいよ12日からはオリックスとのファイナルS(京セラドーム)が始まる。最後の気力を振り絞り、日本一奪還まで走り続ける。(記者コラム・福井 亮太)

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2022年10月11日のニュース