阪神3年ぶりCSファイナルS導いた湯浅の“アツアツ”23球 矢野監督「最高のドラマを起こしてきます」

[ 2022年10月11日 05:15 ]

セCSファーストステージ第3戦   阪神3―2DeNA ( 2022年10月10日    横浜 )

セCS1<D・神>CSファイナルステージ進出を決めて歓喜の阪神ナイン(撮影・北條 貴史)
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 阪神は10日、DeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦に3―2で勝利。12日開幕のファイナルステージ(S)には19年以来、3年ぶりの進出だ。王者のヤクルトと敵地で激突する。湯浅京己投手(23)が、8日の第1戦同様に8回途中から救援登板として1回1/3無失点でセーブを記録。9回に1死満塁を背負うも、直接マウンドに向かった矢野燿大監督(53)から「楽しめ」と背中を押された若き右腕が、指揮官の期待に応えて絶体絶命のピンチを乗り切った。

 激戦の末、ファイナルSへのチケットをつかみ取ったのは矢野阪神だった。決着の瞬間、殊勲の湯浅を中心に広がったナインの歓喜の輪。背中を押してくれた監督の思いに、23歳右腕が最高の結果で応えてみせた。

 「やっぱり、まだまだ矢野さんと野球がしたい。しっかり抑えられてよかった」

 CSから守護神を任されながら、8日の第1戦同様に8回のピンチでマウンドに上がった。2死二塁で佐野を一ゴロに打ち取って火消しに成功。だが、回をまたいだ9回に最大の試練が待ち受けていた。先頭・牧の左前打を皮切りに1死一、二塁を背負い、代打・オースティンの中前打で満塁に。サヨナラ負けは矢野政権の終わりを意味する。この絶体絶命のピンチで矢野監督が動いた。今季初めて、昨年7月3日、同10月7日以来、監督就任以来3度目となるマウンドへ歩を進めた。運命の勝負を前に、思いの丈をぶつけられた。

 「ドラマつくるなあ。もう行くしかない、強気や。思い切り楽しんで、この場面、おまえに懸けているから、どんな結果でもいいから思いきっていってくれ!」

 湯浅自身、満塁にも「気持ちでは負けない。マウンドでは絶対に弱気になりたくない」と土俵際で燃えていた。そして、指揮官の言葉に「バッターに向かっていくだけ。いつも通り自分のボールを投げ込もう」と覚悟を決めた。代打・藤田を初球、ど真ん中の152キロ直球で二ゴロ併殺打に。劇的勝利を呼び込んだ背番号65は、渾身(こんしん)のガッツポーズとともに雄叫びを上げた。

 「毎日接戦でしたけど、勢いに乗って神宮に乗り込めると思う。ドラマを起こせるように頑張ります」

 目を充血させて試合後の取材に応じた矢野監督も「湯浅が今年成長してくれたおかげで、ここまで来られた。託すには申し分がないピッチャー。どんな結果になろうが、それを受け止める気持ちでいた」と最大級の賛辞を贈った。「やっぱり甲子園に帰って日本シリーズ、ファンの皆さんに見せたいですし、僕自身も経験したい。ドラマはまだ終わらないと思う、全員で夢と理想を追って、最高のドラマを起こしてきます」。横浜で“アツアツ”な誓いを立てた。物語のフィナーレは、まだ先にある。(阪井 日向)

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2022年10月11日のニュース