周りが思うより、ずっと優しい新庄監督

[ 2022年10月5日 07:45 ]

札幌ドーム最終戦でビッグボスのユニホームを脱ぎマウンドに置く新庄監督(撮影・高橋茂夫)
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 そんなに悪い監督だろうか。1年間、日本ハムを担当してきて新庄監督の批判の言葉を何度も見聞きした。札幌ドームでは、ファンから「いつ辞めるんだ」と聞かれたこともある。時に奇想天外な選手起用や采配に驚かされることも多かったが、現有戦力でどう勝利を目指し、どう選手の成長を図るか、最善を尽くしていたと思う。

 目立ちたがり屋だと言う人もいる。それは否めないが、誰よりも他人へ心配りができる監督でもある。本拠地最終戦セレモニーでは「BIG BOSS」の登録名から、来季は「新庄剛志」への変更を表明。本名で真剣勝負に挑む本気度を示したが、真っ先に心配していたのが関係各所への影響だった。

 新庄監督が出演するCMソングにも起用され、♪俺たちのビッグボス~ビビビビのフレーズで話題の「BIG4BIGBOSS」を歌う歌手のHARTYは、指揮官から「もう歌えなくなるかも」と心配する声をかけてもらったという。他にも「ユニホームの在庫、結構あるんじゃ…」と、売れ残りを気にかけていたという。

 セレモニーでも指揮官は「試合に勝てなかったから悔しいわけではありません。目をギラギラして試合に臨んだ選手がチャンスで打てなかったり、ピンチで打たれたり。その姿を見て、ものすごく悔しかった」。誰よりも、選手を思う気持ちがにじみ出ていた。

 BIGBOSS“卒業”発表翌日には、自身のインスタグラムを更新。「球場では気軽にBIG BOSSと声をかけてくれたらうれしかばい」と呼称の継続を求めていた。できる限り、周囲には迷惑をかけないためだろう。周りが思うより、ずっと優しい監督なんだと思う。(記者コラム・清藤 駿太)

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