八戸学院大・松山晋也 1メートル88の巨体から最速154キロ腕

[ 2022年10月5日 06:30 ]

1メートル88の巨体から最速154キロを投げ込む八戸学院大・松山晋也
Photo By スポニチ

 【菊地選手ドラフト「隠し玉」発掘】毎年、ドラフト直前になって急浮上してくる“滑り込みドラフト候補”がいる。昨年なら関西国際大の大勢(現巨人)が筆頭格。春の右肘疲労骨折から急激な巻き返しで、ドラフト1位指名を勝ち取った。プロ1年目の大活躍については説明不要だろう。今年のドラフト戦線なら、八戸学院大の松山晋也こそ急上昇した滑り込みドラフト候補だ。

 八戸学院野辺地西に在籍した高校時代はほぼ無名の存在で、八戸学院大でも4年春のリーグ戦までわずか6試合の登板で勝利なし。ただし、ごく一部のマニア筋からは「この大きな体と剛速球に大きなロマンが眠っている」と噂されていた。

 1メートル88の巨体全体をしならせるような、豪快な腕の振りから最速154キロをマーク。鋭く落ちるスプリットと、140キロ台中盤の高速で動くカットボールを武器にする。今秋のリーグ戦では先発にリリーフに7試合に登板し、2勝0敗、防御率0・69と好成績を残した。

 プチブレークを果たした要因を聞くと、「取り組むのが遅かった」と語るおうようさがある一方、技術論について熱っぽく語るクレバーさも持ち合わせている。人生の22年間を青森で過ごし、晩成型の成長スピードから「口下手で辛抱強い東北人」の人間性をイメージしていたが、実態はまるで違った。取材中もよくしゃべり、対戦相手のマネジャーともすぐ仲良くなれる社交性があるようだ。

 猛烈に腕を叩く投球フォームながら、肩・肘の故障とは無縁。アマ時代に酷使されていない点も、プロではプラスに作用しそうだ。恐らくリリーフ適性が高い“ロマン型右腕”に吉報は届くのか。右肩上がりの成長曲線はこれからも続いていく。

 ◇松山 晋也(まつやま・しんや)2000年(平12)6月23日生まれ、青森県七戸町出身の22歳。天間西小2年から天間西ジャイアンツで野球を始め、天間舘中では軟式野球部所属。八戸学院野辺地西では甲子園出場なし。遠投123メートル、50メートル走6秒1。憧れの選手は広島、ヤンキースなどで活躍した黒田博樹。1メートル88、92キロ。右投げ右打ち。

 ◇菊地選手(きくちせんしゅ)1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、15年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(10年10月8日)。野球部員の生態を分析する「野球部研究家」としても活動しつつ、さまざまな媒体で選手視点からの記事を寄稿している。著書にあるある本の元祖「野球部あるある」(集英社)などがある。ツイッターアカウント:@kikuchiplayer

続きを表示

この記事のフォト

2022年10月5日のニュース