エンゼルス・大谷の進化と課題 投手コーチが語る「メジャー最高の先発投手の一人になった」

[ 2022年10月5日 02:30 ]

エンゼルス大谷
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 エンゼルスのマット・ワイズ投手コーチ(46)が3日(日本時間4日)、アスレチックス戦前に取材に応じ、「投手・大谷」の進化と今後の課題について語った。制球力の向上、ツーシームと縦変化のスライダーの習得などが、15勝を挙げた今季の飛躍につながっていると分析。一方で、来季から導入される投球間の時間制限「ピッチクロック」に対応する必要性を指摘した。

 その口調は熱を帯びた。20年はブルペンコーチ、21年から投手コーチとして見守るワイズ投手コーチは「1年を通して投球内容を向上させた。素晴らしい」と大谷への賛辞を惜しまず。進化を遂げた原動力を2つ挙げた。

 (1)制球力の向上 1年目の18年は1試合あたりの与四球数が3・83。だが、昨季は3・04、今季は2・40と改善した。奪三振率(9イニングあたりの平均奪三振数)11・91は両リーグトップに君臨する大谷を「メジャー最高の先発投手の一人になった」と称賛した。

 (2)新球 8月15日のマリナーズ戦からツーシーム、9月17日の同戦から縦のスライダーを持ち球に加えた。前半戦は横滑りのスライダーを軸に躍進したが、相手の適応の先を行く新スタイルで後半戦も好投。ワイズ投手コーチを「投手として夢見るもの全てを備えた存在」と驚かせた。

 一方、大谷に「宿題」を課すことになるのは来季からの新ルール。投手は走者なしで15秒以内、走者がいる場面は20秒以内に投げなければならない。今季のエ軍にあてはめると全投球の半数がオーバーし、大谷も遅い部類の一人だという。

 投球テンポを上げると一球一球を全力で投げることが難しくなり、試合時間短縮に加え、三振を減らして動きのあるプレーを増やしたい機構側の狙いもそこにある。打たせて取る投球術が必要になる可能性もあるが、同投手コーチは「翔平らしく、必ず適応してくるだろう」と話した。

 今季最終登板は、シーズン最終戦でもある5日(日本時間6日午前5時開始)のアスレチックス戦。あと1イニングに迫る初の規定投球回到達は、通過点でしかない。さらなる進化を見据える。(柳原 直之)

 ≪規定投球回到達者で最も長い平均26.6秒≫米データサイト「ファングラフス」によると、大谷の今季の投球間隔は、平均26.6秒(走者の有無による区別はなし)。これは3日現在で規定投球回に到達している投手では最も長い。ダルビッシュ(パドレス)はガウスマン(ブルージェイズ)と並んで5番目に遅い25.3秒。最も間隔が短い投手でもビーバー(ガーディアンズ)の19.9秒だけに、大多数の投手に適応が求められることになりそうだ。

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