ベストナインについて考える 人気投票じゃないんだよ

[ 2022年10月5日 15:50 ]

21年のセ・リーグのベストナイン初選出の5選手。(左から)中日・柳裕也投手、阪神・ジェフリー・マルテ内野手、ヤクルト・村上宗隆内野手、阪神・近本光司外野手、ヤクルト・塩見泰隆外野手(村上は一塁手で1度受賞)
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 【君島圭介のスポーツと人間】セ・パ両リーグのレギュラーシーズン全日程が終了した。この時期になると「ああ、ベストナイン投票か」と身が引き締まる。

 全国の新聞、通信、放送各社でプロ野球5年以上の取材歴を持つ者が投票権をもらえる。私もその1人だ。素人である記者がプロの野球人を評価するのだ。責任は大きい。8月くらいから球場で試合を見るときは誰に投票しようか悩み始める。

 個人的な選考基準はこんな感じだ。

 (1)個人成績、もちろん守備も重視する
 (2)優勝、もしくは成績上位チームの選手を優先する
 (3)人間性、声かけなどチーム内の雰囲気作りへの貢献も加味する

 (1)に関して、打撃6守備4くらいで考える。打撃が低調だが、どうしても選びたい守備の名手がいる場合は「ゴールデングラブ賞」への投票で許してもらう。チームを勝たせるためにプレーするわけだから(2)は当然。(1)と(2)で同等の評価の場合は(3)で決める。

 例年、何故か1票や2票しか入らない選手がいる。ごくたまに納得できる選手もいるが、たいていは「?」が浮かぶ。ベストナインにふさわしいか、そこは選手本人が一番よく分かる。1票入れられて逆に気恥ずかしい思いをしていると想像もできないのだろうか。

 その反対に絶対に選ばれてほしいという選手がいる。例えば今年なら楽天の外野手・島内宏明だ。リーグ打点王を獲得した昨年はDH部門と票が割れたこともあり、選ばれなかった。今季は161でリーグ最多安打(最多二塁打も)、打率3位、出塁率4位と堂々たる打撃成績を残し、4番として142試合に出場した。守備も堅実でうまい。

 権利を有する人は投票する前にもう一度考えてほしい。「人気者だからこの選手」と選んでいないか。「仲がいいから票を入れてやろう」と私的利用はしていないか。それは夏の球宴ファン投票で十分。個人タイトルではベストナイン選出が一番うれしいという選手がいることを忘れないでほしい。(専門委員) 

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