ヤクルト・小沢がプロ1勝 15年ソフトドラ2右腕 苦節7年で念願「ホッとしてます」

[ 2022年7月4日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト11―4DeNA ( 2022年7月3日    神宮 )

<ヤ・D>5回3失点でプロ初勝利を挙げたヤクルト先発・小沢(撮影・村上 大輔)
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 涙はない。喜びをかみしめ、自然と笑みがこぼれた。ヤクルト・小沢はナインから、高津監督から祝福を受けて、プロ初先発初勝利を実感した。

 「とてもうれしく、ホッとしてます。ここまで長かった。いろんな人に感謝の気持ちでいっぱいです」

 苦節7年。ソフトバンクを戦力外となった20年オフに合同トライアウトに参加し、ヤクルトと育成契約した。高校時代は150キロを超える上手投げの本格派だったが、昨秋に自ら横手投げに転向。1軍を夢見て、高津監督の現役時代の動画を研究するなどはい上がり、6月に支配下契約を勝ち取った。両親がスタンドで見守ったこの夜、耐えてしのんで5回3失点、97球を投げきった。

 勝利投手の権利を得る5回は、2点を失いなお2死二塁。ソトを外角低めのスライダーで空振り三振に仕留め「最後は気持ちで抑えてやろうと思った」。小沢の苦労を知るからこそ、野手陣も大量11点で援護した。

 その苦労人を、2リーグ制後史上最速のマジック点灯翌日にプロ初先発させ、勝たせた高津監督は言った。「自分で支配下のチャンスをつかんで、ここまではい上がってきた。あとは彼の適材適所を見てあげて、どこならいい働きをできるか」。リリーフで5年ぶりの1軍登板だった6月26日の巨人戦。岡本和を遊ゴロに仕留めたのを見て「先発で見たい」と決断した。適材適所の起用は恩師の故野村克也元監督の教えの一つ。「高津再生工場」によるプロ初勝利でもあった。

 小沢がようやくつかんだ初白星で、52年のフランチャイズ制以降では68年ぶり、プロ野球タイ記録の14カード連続勝ち越し。マジックも51。独走に拍車がかかった。 (秋村 誠人)

 ◇小沢 怜史(こざわ・れいじ)1998年(平10)3月9日生まれ、静岡県出身の24歳。日大三島から15年ドラフト2位でソフトバンク入団。17年に1軍デビューしたが19年から育成契約。20年オフに戦力外通告を受け退団し、ヤクルトと育成契約。今年6月26日に支配下登録された。1メートル82、83キロ。右投げ左打ち。

 《68年ぶり2球団目の14カード連続勝ち越し》ヤクルトがDeNA3連戦を2勝1敗とし5月14、15日の広島2連戦から14カード連続の勝ち越し。同一カードの連戦が組まれるようになった52年のフランチャイズ制以降では、54年南海の14カード連続勝ち越しに並ぶ、68年ぶり2球団目のプロ野球最多記録になった。

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