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阪神・才木の母・久子さんが初めての手紙ににじませた教育方針と「親心」

[ 2022年7月4日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神3-0中日 ( 2022年7月3日    バンテリンD )

自宅で母・久子さん、父・昭義さんと記念写真に納まる才木(家族提供)
Photo By 提供写真

 浩人、頑張ったね、おめでとう――。才木の母・久子さんがバンテリンドームで父・昭義さんと生観戦し1159日ぶりの白星を手にした息子へ手紙を寄せた。

 11月で24歳になる息子へ、初めて書く手紙だった。5月に支配下復帰が決まった数日後、復活勝利の企画として打診すると、母・久子さんは「私、(通知表の)国語3なんですよ~」と照れ笑いを浮かべていた。その夜から約3週間をかけて執筆してくれた。「まずは、いろんなことを一つ一つ思い出して書き出していったんです」。最後は友人にも下書きを読んでもらって清書してくれた。

 「浩人!」で始まる文面には母子の距離感がにじむ。「話を聞いてあげられる母じゃなくてごめんね」。この言葉が特に印象的だった。幼少期から「(浩人が)痛いと言っても“大丈夫”“生きてる”“歩ける”と甘えさせず育ててきた」という。

 「浩人の場合、心配すると気持ちが落ちる。奮起させた方が良いタイプなんです」。右肘の痛みに苦しんだ期間もあえて“聞き役”にはならなかった。しかし、それはあくまで教育方針。「親心」は違う。

 「実家で浩人が地元の友達に肘の痛みがどうとか、そういう話が聞こえてきて、初めて知ることが多かった。頑張ってる人に“頑張って”とも言えないですしね…」

 苦難を乗り越えて、つかんだ1勝を久子さんは涙ではなく、笑顔とガッツポーズでスタンドから祝福した。親でもあり、世界一の才木浩人のファン。マウンドで腕を振る背番号35の姿が、とにかくうれしかった。 (遠藤 礼)

【阪神・才木浩人はこんな選手】
 ☆生まれ&サイズ 1998年(平成10)11月7日生まれ。兵庫県神戸市出身の23歳。1メートル89、88キロ。右投げ右打ち。
 ☆球歴 出合小1年時に「枝吉パワーズ」で野球を始める。王塚台中2年秋に投手転向。須磨翔風では2年春の兵庫大会で創部初4強。3年夏は2回戦で報徳学園に敗れ、甲子園出場なし。16年ドラフト3位で阪神入団。20年11月に右肘手術。同12月に育成契約を結び、今年5月に支配下復帰した。
 ☆球団最年少ホールド 新人だった17年10月5日の中日戦に救援でプロ初登板し、1回を無失点。当時18歳10カ月。
 ☆初勝利 プロ2度目の先発だった18年5月27日の巨人戦で6回無失点。プロ初勝利を「巨人戦」の「先発」で飾ったのは87年の猪俣隆以来で、10代では球団史上初めてだった。
 ☆両親 父・昭義さんはロボット製作に携わるエンジニア。母・久子さんは大体大のハンドボール部出身で、全日本大学選手権(インカレ)で準優勝。中学の体育教師の経歴もあり、文武両道の血を受け継いでいる。

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