西武 あわや今季3度目ノーノー…獅々打線に必要なのは「小技」 西武担当記者が分析

[ 2022年7月4日 05:30 ]

パ・リーグ   西武0―3ソフトバンク ( 2022年7月3日    ベルーナD )

<西・ソ>5回の攻撃前、円陣を組む西武ナイン(撮影・尾崎 有希)
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 西武は3日、ソフトバンク・石川柊太投手(30)に6回まで無安打に抑え込まれ、わずか1安打で今季11度目の零敗を喫した。プロ野球史上初となるシーズン3度目の無安打無得点を喫する屈辱こそ回避したが、これで6回まで無安打は5試合目。今季顕著な「投高打低」に拍車をかけている。破壊力はリーグ屈指ながら、快投を許す原因は何か。西武担当の神田佑記者(39)が分析した。

 怖さはあるが、いやらしさに欠ける。西武打線の2つの特徴が「もろ刃の剣」となっている。

 1つ目は「早打ち」。山川、森、中村ら強打者が居並び、チームでストライクゾーンに来た球を積極的に打つことを徹底。球に合わせることなく、強く振る意識が強い。この日の石川に対しては特にそうだった。辻監督は「きっちりコースに投げてくるようなピッチャーじゃない。アバウトに抑えるので、最初から甘い球を仕留める」と策を立て、追い込まれる前の勝負が指示されていた。ハマれば電光石火で得点が奪える。一方で、攻撃が淡泊になる傾向がある。無安打だった6回まで1イニング平均13球ペース。過去の無安打無得点も東浜には97球、オリックス・山本には102球で達成された。

 2つ目は「個々の勝負」に重きを置く点だ。「早めの勝負」と決めても、数人は粘り、小技を駆使する打者がいる。だが、西武の打者は個々の打力が持ち味。「打線」になりにくい。これが二面性となり、全打者が単調な打席になるもろさを持つ。この日は、昨年まで2年連続「スピードアップ賞」の石川のペースにハマった。2回には栗山が、構える前に投げ込まれ、審判に強い口調でアピール。辻監督らが間に入ってなだめる場面もあった。短い間合いで投げ込む投球間隔で、淡泊な攻撃が加速した。

 今季は2度のノーヒットノーランを含め、球団ワーストタイのシーズン3度目の1安打以下での敗戦。6回まで無安打は5度目となった。「(無安打は)もういいんじゃない。もう勘弁してくださいって」。そう苦笑いした辻監督の現役時代は、バットを短く持って粘り強い打撃でチームに貢献した。役割分担がはっきりしていた黄金時代。3位からの浮上、優勝争いには「いやらしさ」が必要になる。(神田 佑)

 ≪今季のゲーム1安打以下は球団ワーストタイ3度目≫西武は6回まで無安打に抑えられ1安打の零敗。チームが6回以上を無安打に抑えられるのは今季5度目になった。また、今季のゲーム1安打以下は、ノーヒットノーランを喫した5月11日ソフトバンク戦、6月18日オリックス戦に次ぎ3度目。西武で1安打以下の試合がシーズン3度は67年、7年に次ぐ3度目の球団ワーストタイで、1安打以下の零敗が3度は西鉄時代の67年以来55年ぶり。

 ≪今季最多2万6532人来場 3年ぶりチケット完売も連敗≫19年のCS以来3年ぶりのチケット完売で今季最多2万6532人を記録したが、2連敗で首位・ソフトバンクにゲーム差を4・5に広げられた。投手陣は14試合連続3失点以下で54年の球団記録にあと1試合に迫ったが、全3失点は与座が初回に周東にソロを浴びるなど序盤に喫した。右腕は約1カ月ぶりの黒星で「相手を乗せてしまい流れを悪くしてしまった。先発としての責任を果たせなかった」と反省した。

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