田淵幸一氏が大山100号祝福 印象的な一本は6・17DeNA戦、今永のインハイ撃ちで殻を一つ破った

[ 2022年7月4日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神3―0中日 ( 2022年7月3日    バンテリンD )

田淵幸一氏
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 阪神OBで日本人選手では球団史上最速の424試合で100号に到達した田淵幸一氏(75=本紙評論家)が大山の節目の一発を祝福し、特に先月17日のDeNA戦で今永の内角高め直球を本塁打した打撃に高評価を寄せた。

 通算100号の本塁打、おめでとう。6年目での達成。チャンスに打てずに厳しい声を浴びたり、4番からの降格やスタメン落ちも経験しながらの大台到達。レベルアップのための努力を続けた結果だと評価したい。

 6月はまさに大山の月だった。月間10本塁打。私も阪神時代に75、76年、そして、78年に3度の月間2桁本塁打を記録した。いまの言葉で言えば、まさに無双状態。面白いように狙い球が来るし、面白いように打球が飛んだ。大山も同じ感覚を味わったと思う。

 印象的な一本が6月17日のDeNA戦(甲子園)で3回に今永から打った15号だ。初球のインハイ直球を見事に左翼席に運んだ。左肩を開かず、左腰から入り、ゴルフでバンカーショットを打つように、インパクトの瞬間に右手で押し込んだ。殻を一つ破ったな…と思わせた打撃だった。

 内角打ちの名人といわれた山内一弘さん(75~77年に阪神コーチ)の指導で、このインハイの打ち方を自分のものにするのに、私は3年かかった。引っ張るだけでは空振りかファウルになる。回転でボールを運ぶコツを会得することが長距離打者の条件。あの一本が大山を中距離打者からステップアップさせた。

 ホームラン打者はスランプと隣り合わせになるのが宿命。王貞治さんもそうだった。この100号も11試合ぶりの一発だった。6月後半は下半身のキレがやや失われている印象を受けた。スランプを短くするためには自分で工夫することが必要。私も山内さんのアドバイスを箇条書きのメモにして、ロッカーに貼っていたし、映像を見たり、スポニチのカメラマンに連続写真の提供を何度もお願いした記憶がある。自分で修正できれば、より強い打者になれる。3三振しても、最後にサヨナラを打てばOKの世界。切り替えて勝負を続けてほしい。(スポニチ本紙評論家)

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