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記者席で飛び交った「これ、ドカベンで出てきたルールだ!」

[ 2022年1月20日 09:00 ]

12年夏の甲子園2回戦「済々黌・鳴門」戦。7回1死一、三塁、済々黌・西の遊直は一塁へ送球され併殺となったのだが…
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 野村克也さんは座学を重視した指揮官だった。キャンプ中も連夜のミーティングを開催。「今日も知らないより知っていた方がいい話を始めます」と、選手に語りかけていたという。

 プロ野球選手の大半は、小学生の頃から野球を始めている。自然と、野球漫画を読むことも多い。中でも「ドカベン」を夢中になって読んだ人は多いだろう。

 10日に作者の水島新司さんが亡くなった。いろいろな人に「ドカベン」の思い出を聞くと「野球のルールを勉強した」という答えが多かった。

 「第3アウトの置き換え」。普段は聞き慣れないルールだろう。小学生で指導者から習うことは少ないかもしれない。こんなルールが、ドカベンに登場する。夏の神奈川大会3回戦、明訓―白新戦。1死満塁から、スクイズの小飛球に飛び出した一塁走者の山田が戻れずにアウト。だが、同じく飛び出していた三塁走者・岩鬼が3アウト目より前に本塁へ到達していた。白新側がアピールしなかったため、明訓は好投手・不知火から1点を奪って勝利を収めた。このケースでは守備側が得点を防ぐためには、三塁にボールを送って、4つめのアウトを取り、三塁走者を3アウト目に変更したい、とアピールしなければならない。これが「第3アウトの置き換え」だ。

 アマ野球担当をしていた12年夏の甲子園で、このプレーは目の前で起こった。鳴門と済々黌の2回戦だった。

 済々黌が1点リードで迎えた7回1死一、三塁でライナーを遊撃手が好捕。ボールは一塁へ送られ、一塁走者もアウトとなった。無得点でチェンジとなるはずが、スコアボードには「1」が入った。

 誰もが、目を疑った。しばらくして、「これ、ドカベンで出てきたルールだ!」という声が聞こえた。瞬時に思い出した。

 野球のルールは難しい。でも、万が一のプレーにも対応できるように、知らないより、知っていた方がいいに決まっている。漫画で出てきたシーンは、頭に残る。そういう意味でも「ドカベン」は子どもたちの教科書だった。(記者コラム・川島 毅洋)

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