高卒ドラ1捕手・松川の成長力とも競争 ロッテの正捕手は誰が奪いとる!?

[ 2021年11月29日 13:04 ]

市和歌山・松川虎生       
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 日本シリーズを見ながらいろんなことを感じた。オリックス・中嶋監督は日本ハムで、ヤクルト高津監督はヤクルトで、いずれも現役時代に担当した。

 記者生活も長くなると、これまでに一緒に仕事をした首脳陣、選手も多くなる。自然と応援したくなるものだ。

 ロッテを担当していた記者としては、最後まで優勝を争ったオリックスの戦いぶりは、来季のことも考えながら見ていた。

 山本、宮城、田嶋、山崎颯、山崎福の先発陣はシーズン途中から安定感抜群だった。日本シリーズでも好投しており、来季も強力なライバルになることは間違いない。

 紅林の充実ぶりにも驚いた。オリックスとCSファイナルステージで対戦した際には、福良GMと何度も球場内で一緒になった。「紅林の強肩はもの凄いですね」。そう聞くと、「あいつは1年間で成長したよ」と笑っていた。

 よく言われることだが、育成と試合に勝つことを両立することは、非常に難しい。

 「我慢して使えばいい」と第三者は簡単に言うかもしれないが、発展途上で実力が伴っていない者を使えば、勝率は低くなる。しかも、1年間で143試合も戦ったら、力の差をごまかすことはできない。

 紅林は高卒2年目の野手として2桁本塁打をマークし、守備もみるみると向上していた。来季はさらに飛躍するのか、大きな壁が待っているのか、どちらなのだろうと担当外の球団ながら楽しみに思った。

 さて、担当しているロッテだが、こちらも楽しみは多い。今年の紅林に近い経験をした若武者たちが多数いる。安田、藤原、山口は開幕スタメンに抜てきされ、打席数も与えられている。

 特に安田、藤原はチャンスを与えられてから来季で3年目。そろそろ「経験」という先行投資も終了時期となる。結果がでなければ、首脳陣も他の選択肢を考えなくてはならない時期に差し掛かる。

 個人的に楽しみなのが捕手争いである。ドラフト1位に市和歌山・松川を指名した。これはどういうメッセージがこめられているか。想像は容易だ。将来の黄金時代を担う捕手として期待しているのだから、現在の捕手陣は、そうさせないように奮起するしかない。

 打力の高さならば、誰からも認められる佐藤都は「高校生ならば、入団してから2、3年で頭角を出してくると思う。その間に(正捕手争いに)入るスキはないぞと思われるぐらいの位置に自分がいられたら」と話していた。

 強肩と安定したリードを買われて、レギュラー格として後半戦マスクをかぶった加藤は、秋季練習で井口監督から何度も課題の打撃のアドバイスを受けていた。

 脇腹を痛め、シーズンの最終盤を離脱してしまった田村だが、コンディションが万全ならば、攻守のバランスは捕手陣の中でNo・1だ。守備力高い柿沼も生き残りへ必死だろう。

 高校生の松川がプロの捕手たちと、どれだけ競争できるかは未知数だが、ひとつ言えることは、ドラ1捕手が早い段階で正捕手になるということは、他の捕手は長い期間、控えに甘んじることになるということだ。

 捕手陣は松川の成長力とも競争していくことになる。これによって、現存戦力が大幅アップとなれば、井口監督もニンマリだろう。(記者コラム・横市 勇)

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2021年11月29日のニュース