第10代・労組選手会会長に広島・会沢!リーダーシップ高評価 3代連続で捕手就任へ

[ 2021年11月29日 05:00 ]

19年の春季キャンプの打ち上げであいさつする会沢
Photo By スポニチ

 労組・日本プロ野球選手会(炭谷銀仁朗会長=楽天)の次期会長に広島の会沢翼捕手(33)の就任が最有力となっていることが28日、分かった。12月6日の選手会総会で役員改選が行われ、正式に決定する。会沢は18年から2年間はチームの選手会長を務めるなどリーダーシップが高く評価されている。正式に決まれば3代連続で捕手の就任となり、節目の第10代選手会長として選手会をリードしていく。

 まだまだ新型コロナウイルスへの警戒が必要な状況下で、引き続き重責を担うプロ野球の選手会長。第8代・嶋会長(現ヤクルト)から第9代の炭谷現会長(現楽天)へつながれたバトンが再び捕手に引き継がれる可能性が高い。後任の最有力候補として名前が挙がっているのが会沢だ。

 会沢は06年高校生ドラフト3巡目で水戸短大付から広島入りし、今年で15年目。18~19年の2年間はチームの選手会長を務めた。阪神在籍時にプロ野球選手会長を務めて東日本大震災の難局にも対応し、当時は広島でベテランだった新井貴浩氏(スポニチ本紙評論家)は「(会沢は)責任感が強いし、選手や組織をまとめて引っ張る力がある。(選手会長に)適任」と太鼓判を押していた。義理人情に厚く、誰に対してもはっきりとものが言える性格。人柄を慕う選手は多い。

 19年11月のプレミア12では侍ジャパンの一員として日本代表の初優勝に貢献した。今夏の東京五輪も侍ジャパンに選出。故障で無念の辞退となったが、球界を代表する捕手の一人として他球団の選手からも人望が厚く、プロ野球選手会のトップとして適任といえる。

 コロナで難しい対策に追われたこの2シーズン。前日に終了した日本シリーズも観客は収容人数の50%の制限で行われた。政府はイベント人数制限の条件付き撤廃など行動制限を緩和する方針を打ち出しており、球界も来季はキャンプで観客を受け入れ、オープン戦から「ワクチン・検査パッケージ」を活用して定員の100%収容を目指している。今季で4年目である炭谷現会長と同様、次期会長も広い視野で12球団の選手会をまとめていくことが必要となる。

 これまでFA制度の導入や04年の球界再編問題など選手会は球界の改革に大きな功績を残してきた。そして直面するコロナ下の難局もファンと一体となって乗り越えなければならない。85年に都労委から正式に労組・選手会として認定されて36年。初代の中畑清会長(本紙評論家=当時巨人)から節目の第10代会長として、会沢が大役を担うことになる。

 ◇会沢 翼(あいざわ・つばさ)1988年(昭63)4月13日生まれ、茨城県出身の33歳。水戸短大付(現水戸啓明)から06年高校生ドラフト3巡目で広島入団。17年から正捕手に定着。18年から選手会長に就任し、球団捕手として初の2年連続ベストナイン受賞。今季は70試合で打率.256、3本塁打、22打点。6月に左足を負傷し、東京五輪日本代表を辞退した。1メートル75、87キロ。右投げ右打ち。趣味は晩酌。

 ≪第9代・炭谷は4年奔走≫17年12月に第9代会長となった炭谷は高卒選手初の就任で、ここまで4年間も務めている。就任当初からFAの資格取得条件の緩和や若手に活躍の場を広げるための「現役ドラフト」の提案などを積極的に行った。同制度は20年からの導入を目指していたが、コロナ禍で交渉が中断。現在は22年からの導入を目指す。また20年4月に緊急事態宣言が発令された際はクラウドファンディングを活用した寄付も実施。6月には夏の甲子園中止に見舞われた球児を支援するため総額1億円の寄付を行い、日本高野連を通じて47都道府県に均等に分配された。

 ▽日本プロ野球選手会 日本のプロ野球12球団に所属する日本人選手全て(一部の外国人選手を含む)が会員となっている団体。主にプロ野球選手の地位向上を目的として設立され、1980年に社団法人として法人格を取得。85年に東京都地方労働委員会に労働組合としての認定を受けた。現在は、社団法人日本プロ野球選手会と労働組合日本プロ野球選手会の2つが併存。全国各地での野球教室や各種チャリティー活動など公益的な取り組みも行う。

続きを表示

この記事のフォト

2021年11月29日のニュース