ソフトB・高橋礼 強い直球&新球スローカーブで先発ローテ守り抜く

[ 2021年2月9日 05:30 ]

工藤監督(左)の前でブルペン投球する高橋礼(撮影・岡田 丈靖)
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 新人王に輝いた2019年以来の先発復帰を目指し、春季宮崎キャンプで汗を流しているソフトバンクの高橋礼投手(25)。同じ19年には侍ジャパンの一員として「プレミア12」で世界一に貢献した。新型コロナウイルスの影響で東京五輪は開催が危ぶまれているが、世界での戦いを知るサブマリンは母国開催での金メダル獲得に懸ける熱い思いを語った。(聞き手・福井 亮太)

 ――7日に第2クールが終了。ここまでを振り返って。

 「投げた球数なりの疲労はあるが、ブルペンにも4度入れているし、順調にきている。体も特に気になるところはないですね」

 ――先発復帰に向けて取り組んでいることは。

 「投げる日、落とす日のメリハリをつけること。左足に体重を乗せる意識を強く持っているので、フォームが自然と低くなり、安定感が出た」

 ――1月には“サブマリン合宿”が実現。楽天・牧田からはカーブを教わった。西武・与座から学んだことは。

 「キャッチボールの精度ですね。与座はキャッチボールからコントロールがいい。そこを意識していると、ブルペンの内容にも直結すると感じた」

 ――19年に新人生、昨年は中継ぎでチームトップの52試合に登板。今年狙いたいタイトルは?

 「まずはローテーションに入る。シーズン通して、ローテを守れればチームやパ・リーグの個人タイトルにも絡んでくると思う」

 ――工藤監督が今年のテーマに「率」の向上を掲げている。個人で意識している「率」は。

 「四死球率を下げることですね。先発をするのでコントロールはこだわっていきたい」

 ――キャンプ地を回っている稲葉監督が視察に来る。アピールしたいポイントは?

 「昨年は真っすぐが強いと思われていない。強くなった真っすぐを見てもらいたい」

――コロナで開催が危ぶまれるが、東京五輪への思いは。

 「野球人生で一度しかないチャンス。誰しもが選ばれる可能性があるわけではない。何とかして選ばれたい。メンバーに入れば、経験を積んで、よりレベルアップができる。金メダルを獲ることに意味があるし、負けるつもりはない。頂点しか見えてないです」

 ――19年の「プレミア12」で世界一を経験。そこで得たものは。

 「国と国が戦う。本当に各国のプライドを感じた。日の丸を背負って負けることだけは味わいたくなかった」

 ――日の丸を背負う緊張感はシーズンと違うのか。

 「緊張感はない。悪い言い方したら、打たれてもクビにはならない。毎日の積み重ねが必要なシーズンとは違って、トーナメントなんでそこで100%出すだけ」

 ――チームメートの甲斐は代表ではどのような存在なのか。

 「甲斐さんからは“シーズンと同じように投げれば大丈夫”と声を掛けてもらった。その言葉を信じていつものピッチングを心掛けた。甲斐さんに受けてもらった時が一番自分のピッチングができる」

 ――第3クールが始まり、実戦練習が入ってくる。首脳陣にアピールしたいポイントは?

 「真っすぐの質と新しく取り組んでいる球速90キロ台のカーブの精度。これだけ練習してきたので打者の反応が楽しみ」

 ――どんな一年にしたいか。

 「まずは先発ローテーションを守り抜きたい。アンダースローなので比較対象がいない。自分がいい投球をすれば、使ってもらえる。打たれたら使ってもらえない。そこはポジティブに考えて戦っていきたい」

 ――最後にアンダースローあるあるをどうぞ。

 「球速にはこだわらない。みんなテンポがいいですね。歴代アンダースローから受け継がれているのかな。あと、キャッチボールからオーバースローで投げたことがない(笑い)」

 【取材後記】あの時の約束が実現した。高橋礼とは専大の同級生で学部学科も同じ商学部マーケティング学科だった。ランチを食べるのは決まって生田キャンパス1号館の坂の下にある「スエヒロ」。一緒にテスト対策を練ったこともあった。卒業式後にプロ野球選手と記者として球場で再会しようと約束した。あれから3年。誰にでも明るく話し掛ける気さくさ、後輩をかわいがる面倒見の良さは大学時代から変わっていないが、キャンプでは成長した部分が垣間見られた。フォームの追求、カーブの習得など、過去の自分を超えるために新たな可能性を模索している。さらにたくましくなっていく同級生の姿を追いかけたい。

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