大リーグが「飛ばないボール」を採用 従来のボールを改良 すでに5球団が準備完了

[ 2021年2月9日 08:53 ]

大リーグが使用しているローリングス社製のボール(AP)
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 大リーグが「飛ばないボール」の採用を検討していることが明らかになった。スポーツ専門サイトの「ジ・アスレチック」やAP通信が報じているもので、大リーグ機構の運営部門のモーガン・スウォード副本部長が各球団に文書で通達。匿名の球界関係者がその内容を公表した。

 それによると新しいボールは打球が375フィート(約114メートル)以上飛んだ場合には、1~2フィート(30センチから60センチ)ほど飛距離がダウン。AP通信によればすでにレッドソックス、ダイヤモンドバックス、ロッキーズ、マリナーズ、メッツの5球団がこの“新球”を湿度の管理が可能な倉庫で確保し、採用球団は今後10球団に増えるとしている。

 大リーグはローリングス社(本社ミズーリ州セントルイス)のボールを公式球として採用しているが、2019年シーズンにリーグ全体で過去最多となる6776本塁打を記録。これは全打席数の6・6%に相当し、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で短縮シーズンとなった昨季も6・5%と数値が高かったために“監視下”に置かれていた。科学者4人による大リーグの専門委員会は「2019年の使用球はその前年に使われていたボールよりも平均的な抗力係数(CD)が弱く、それが飛距離のアップにつながっている」と指摘。大リーグ側は使用球に対して平均反発係数(COR)の数値を設けているが、ローリングス社がここ数年製造していたボールは規定の数値の上限を超える傾向があったとされており、同社ではボールの芯を最初に巻く太めの糸による中心部への圧力を減らすことでCORを低下させて改良したとしている。

 なお大リーグ側はこの改良によってボールの重さが2・8グラム軽くなっているが、大きさには変化がなく、球速に影響はでないと主張している。

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2021年2月9日のニュース