ロッテ・朗希インタビュー “令和の怪物”人生に戸惑い「静かに暮らしたかった」夢は「お金持ち」!?

[ 2021年2月9日 06:00 ]

今キャンプ3度目となるブルペン入りをした佐々木朗(撮影・長久保 豊)
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 最速163キロを誇るロッテ・佐々木朗希投手(19)が本紙のインタビューに応じた。「令和の怪物」の1年目は、右肘の違和感もあり体力強化に専念した。今年で東日本大震災から10年。小学校3年時に岩手県陸前高田市で被災した若者は、大きな宿命も背負う。19歳の本音に迫るべく、野球だけでなく、さまざまな質問をぶつけた。(聞き手・横市 勇)

 ――2年目のキャンプ。1年目とは見える景色も違う?
 「精神的に余裕があるとは思います。どの練習があるとか、これは疲れるとか、流れが分かっているので。1年目よりも落ち着いてできています」

 ――昨年の石垣島は「朗希フィーバー」に沸いた。今年は無観客。どう感じたか。
 「(昨年より)報道陣の数が多いか、少ないかは分からない。ただ、ファンの視線は(たくさんいても)全然気にならないです」

 ――昨年から投球フォームも変わり、オリックスの山本に似ていると感じた。
 「マネとかはしていないんです。ただ、いろんな選手を学生時代から参考にして、自分なりに過去の経験による知識も少しあるので、その中でいろいろと組み合わせていったら、この形になった」

 ――お笑いが好きだと話していた。宿舎では見ている?
 「あまり見ていないですね。(動画で出ているものは)見尽くしました。(お笑いの)ネタって、なかなか更新されないので。(同じ動画を)2回見るのも、どうかなと。最近はスマートフォンもなるべく見ないようにしている。目が疲れるので。そうなると体も疲れる。いいプレーができるようにするためですね」

 ――今年の11月で20歳になる。成人してやってみたいことは。
 「ないですね。今のところはお酒も興味ないです」

 ――アスリート、芸能人、歴史上の人物…ジャンルを問わず今、気になる人はいる?
 「イチローさんが智弁和歌山を指導した話は気になりました。ニュースとかで見ました。小学生、中学生、高校生、教えることは全部違うと思うけれど、高校生にはどんな言葉を掛けたりするのか。技術的なことはどんなことを教えるのかなとか…。そんなことが気になりました」

 ――将来的には自分もマネしてみたい?
 「野球をしている子供たちのために、僕ができることがあったら、何かしたいとは思います」

 ――野球以外で、将来の夢は。
 「僕はお金持ちになりたいんです。お金が欲しいわけではないけれど、自分が誰かのために、行動を起こすには、どうしてもお金が必要だと思うんです。そういう時に、自分の生活ができる上で、周囲に対して何かできるぐらいのお金を持っていたい。引退した時に、何かに使えるぐらい。そういうことをしたいと思っています」

 ――具体的に思い描いているものは?
 「今、考えていることは野球に関係することか、自分が生まれた地元・東北で貢献できることがメインですね」

 ――結婚願望は?早い方がいいか、それとも当面は野球に専念したいか。
 「タイミングがよければ、早く結婚してもいいと思う。野球が忙しいからとか、その辺りはあまり関係ないかなと思います」

 ――どんな女性が好みのタイプ?
 「きれいな人はいっぱいいるので、そういう好みもコロコロと変わるので。好きとか嫌いは別として、笑顔が素敵な人はいいなと思います」

 ――もし、佐々木朗希じゃなかったら、どんな人生を歩んでみたかった?
 「僕は大学に行って、就職して、東北で温かい家庭を築いて、静かに暮らしたかったです」

 ――今の生活と真逆。
 「はい、本当はそういう生活をしたかったので…。ちょっと今、困っている(笑い)」

 ――160キロを投げ、これほど注目されるとは思っていなかった?
 「それはもちろん!」

 ――東日本大震災から今年で10年。振り返ると早く感じるのか。
 「日々過ごしていると、そう思わないけれど、振り返ると早いです。今年で10年目だけど、僕自身にとっては毎年が特別。9年目も11年目も特別なんです。ただ、今年は10年という節目。まだ、僕は試合で投げていない。1年目みたいなものなので、そこでしっかりといいパフォーマンスを出して、(東北の人たちに)何かに応えられるものがあったらいいなと思います」

 ◆佐々木 朗希(ささき・ろうき)2001年(平13)11月3日生まれ、岩手県陸前高田市出身の19歳。高田小3年で野球を始め、11年の東日本大震災で被災し大船渡市に移住。大船渡一中では軟式野球部に所属した。大船渡高では1年夏からベンチ入り。2年秋からエースを務め、3年春のU18W杯1次候補合宿で高校生史上最速の163キロを計測。同年夏の岩手大会は決勝で敗れ、甲子園出場なし。19年ドラフト1位で4球団競合の末、ロッテ入団。1メートル90、85キロ。右投げ右打ち。

 【取材後記】新型コロナの感染予防対策で、ロッテはキャンプ中、選手たちの不要不急の外出は禁止。宿舎で過ごす時間も長い。佐々木朗に「何をしているのか」と聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
 「宿舎で暇な時間はないです」
 えっ?と思い、生活のリズムを教えてもらった。「(練習から戻って)夕食をとって、お風呂に入る。自分の部屋に戻ったら、夜8時ぐらいから間接照明だけにして、ちょっと音楽を流しながらリラックスして、そのまま朝まで寝る」。確かに、これではテレビ、ゲーム、読書などの時間もなさそうだ。
 起床は午前5時だという。「(練習に出発までの)準備とかあるので」。しっかり野球に没頭できているのだなと分かる。記者が19歳といえば、もう30年前。あの頃は毎日夜更かしして、昼までよく寝ていた。比較するのも、申し訳ないが…。(ロッテ担当・横市 勇)

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