巨人2メートル新人・秋広　「大」きなプロ第一歩！初実戦で2安打1盗塁

巨人紅白戦   紅組1－２白組 （ 2021年2月8日    サンマリン宮崎 ）

巨人紅白戦の7回、この日2安打目となる中前打を放つ秋広（撮影・木村　揚輔）
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　身長2メートルの超大型三塁手が、ジャイアントインパクトを残した。巨人は8日、今キャンプ初実戦となる1、2軍混合の紅白戦を行い、ドラフト5位・秋広優人内野手（18＝二松学舎大付）が2安打を放った。エンゼルス・大谷翔平投手（26）そっくりの構えから中堅にはじき返し、初盗塁もマーク。三塁手として過去に類を見ない規格外のサイズだが、守りでしなやかな動きも見せ、文字通り大きな一歩を踏み出した。

　メジャーでも、身長2メートルの選手が三塁手で大成した前例はない。秋広が、球団が目指す球界の「新機軸」の挑戦者となる。

　「マネするとかではなくて。自分のやりやすいスタイル」という左打席での構えは、1メートル93の大谷によく似ている。膝を軽く曲げ、前かがみで待つ。バットを高く掲げる姿も、シルエットが重なる。「あのようなスケールの大きな選手になっていきたい」と憧れる。

　高校時代は主に一塁手で投手を兼任した二刀流だが、1月の新人合同自主トレを視察した原監督が三塁手での育成を決断した。体の使い方が器用で俊敏であることと、地肩の強さが買われた。

　リアル「巨人」のルーキーに、柔と剛が共存する。2軍キャンプメンバーながら1軍に交ざった紅白戦の4回2死。太田のカーブの落ち際にタイミングを一つ遅らせるようにして中堅に運ぶ。「初球のカーブを拾って対応できた」。脇を締め、しなやかにバットを操った。先頭で迎えた7回で見せたのは力強さ。谷岡の直球を再び中堅へ運び「目いっぱい打てたので良かった」と言った。

　日本プロ野球で過去に2メートルの日本人選手は馬場正平投手（のちのプロレスラー・ジャイアント馬場）だけ。「日常生活では困ることがある」と宮崎の宿舎のベッドで足が入りきらず、ふくらはぎから下は宙に浮かせて寝る。自動販売機よりも大きく「天井、ドアのフレームに（頭が）当たってしまう」という。

　プロを自覚したきっかけは、意外に小さなこと。キャンプ2日目の朝、前日泥だらけにしたユニホームが奇麗に洗濯して渡された瞬間だった。高校時代は寮でブラシでこすり、汚れを取っていた。「高校の時と全然違う。プロ野球は凄い」と小さく笑った。

　肝っ玉も大きい。7回に出塁後、50メートル6秒2の俊足で二盗を決めた。ノーサインで「いけるかなと思った」。1度だけあった守備機会も軽やかにゴロを捕球して一塁に送球。「三塁の経験が他の選手より浅いので追いつけるように」と、猛練習の成果を見せた。

　大器が大志を抱く。夜間練習では約1時間半、1軍昇格を目指してバットを振った。（神田　佑）

　◆秋広　優人（あきひろ・ゆうと）2002年（平14）9月17日生まれ、千葉県出身の18歳。幼稚園の年中から野球を始め、宮本中時代には江戸川ボーイズに所属し主に内野手。二松学舎大付では1年秋からベンチ入り。高校通算23本塁打。2メートル、95キロ。右投げ左打ち。足のサイズは32センチで、ジャイアント馬場（34センチ）に迫る。

　≪2メートル以上の三塁手はメジャーでも過去2人だけ≫メジャーでも2メートルを超す長身の三塁手はほとんどいない。史上最長身とされているのは、元オリオールズのライアン・マイナーと、元レイズのジョエル・グズマンの2メートル1。いずれも控え選手で、三塁での出場はマイナーは99年の45試合が最多、グズマンは06、07年の2年間で計14試合に守っただけだ。

　最近では、16年ナ・リーグMVP、カブスのクリス・ブライアントが代表例。1メートル96の長身ながら守備力も高く評価されている。シーズン100試合以上、三塁を守った選手としては、93年以降では元エンゼルスの主砲トロイ・グロースに並ぶ最長身とされる。

　メジャーでも大型遊撃手は増えているが、俊敏性と三塁線の守備範囲の広さが要求される三塁手は必ずしも大柄ではない。現役最強三塁手の呼び声高いノーラン・アレナド（カージナルス）は1メートル88、球宴　2度出場のアレックス・　ブレグマン（アストロズ）は1メートル83。93～14年のデータでは、レギュラークラスでは1メートル85の三塁手が最も多い。

　≪2メートル以上の日本人選手は馬場と同期・阿部のみ≫身長2メートル以上の日本人選手は55～59年に巨人に在籍した馬場正平（2メートル）と今季巨人に入団した秋広、育成の阿部（2メートル）の3人しかいない。野手では秋広が第1号だ。外国人野手はモヤ（オ＝2メートル1）まで6人が1軍に出場し、守備位置は一塁か外野。秋広が三塁で出場すれば身長2メートル以上で史上初となる。