日本ハム・西川の盗塁の美学 走るのは勝利のため

[ 2020年10月16日 09:30 ]

11日のオリックス戦9回2死一塁、二盗を決めた日本ハム・西川(撮影・高橋茂夫)
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 日本ハム・西川には盗塁の美学がある。10月11日のオリックス戦で島田誠が持つ球団最多タイに並ぶ通算6度目のシーズン30盗塁を達成した時だった。記録達成について問う質問に「何個目とか何度目とか、あまり興味がないです」と淡々と振り返っただけだった。

 西川が走る目的は、勝利のため。記録のために走るのではない。11日のオリックス戦で節目の記録こそ達成したが、5―7と試合に敗れたため冒頭のような反応になったのだ。

 盗塁を決めた場面は、2点ビハインドの9回だった。自身が12球粘った末に放った適時打で1点を返し、なおも2死一塁の場面だった。オリックスの守護神・ディクソンのモーションを盗み、二盗を成功。しかし、後続が断たれて勝利にはつながらなかった。西川がいい例として挙げたのが、その試合でオリックスの佐野が初回に決めた二盗だった。10球粘った末に四球を選んで出塁し、3球連続のけん制をかいくぐりながら成功させ、次打者・安達の適時打で先制点を奪った場面だ。「そういう野球をやりたい。何個目とか何度目よりも、場面やそれで本塁に還れたとかそういうところの方が大事」と強調した。

 一騎打ちの様相を呈してきたソフトバンク・周東との盗塁王争いも佳境を迎えた。15日終了時点でトップの周東とは1個差の2位で33盗塁。15日の西武戦で5試合連続となる盗塁を決め、猛追している。チームは5位に低迷するが、自他ともに認める負けず嫌いは「勝てるように、うまく試合運びができるように、盗塁だけじゃなくて全てに関して試合に勝てるようにやっていきたい」と今後も数ではなく、盗塁の質を求めていく姿勢だ。

 9月17日の日本ハム―ソフトバンク戦(札幌ドーム)前には2人で話し込む場面もあった。詳細こそ明かさなかったが、2人で盗塁について話したことも「ないことはない」と明かす。いいライバル関係が見て取れた。西川は自身の美学を貫きつつ、2年ぶり4度目の盗塁王を見据える。(記者コラム・東尾 洋樹)

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2020年10月16日のニュース