球児伝説最終章始まる! サヨナラ負けも敵地ファンに別れ 「いい勝負を繰り広げさせてもらった」

[ 2020年10月16日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-5中日 ( 2020年10月15日    ナゴヤドーム )

<中・神21> ライトスタンドの中日ファンに声援の自粛を促す藤川(撮影・大森 寛明)
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 今季限りでの現役引退を表明している阪神の藤川球児投手(40)が15日の中日戦で出場選手登録され、63日ぶりに合流した。登板はなく今季最終戦だった敵地ナゴヤドームに別れ。11月10日に予定される引退セレモニーへ向けて「最後の戦い」が始まった。帰還を祝うはずの一戦は逆転サヨナラで敗れ、3連敗で9月9日以来の勝率5割。今こそ背番号22を中心に結束したい。

 振り返らなくても、体が覚えていた。繰り広げてきた激闘の記憶。喜びも落胆もこのマウンドで味わってきた。現役最後のナゴヤドームを後にする藤川はどこか寂しげだった。

 「ドラゴンズと言えば、落合監督であり、井端さん、荒木さん。本当に一緒に戦ったメンバーでファンも、スゴく分かってくれていて。何とか、ここの日に間に合わせて…。選手って、これだけ幸せなんだと感じることができた。いい勝負を繰り広げさせてもらったところで、人の印象って、消えないんだなと」

 敗戦の余韻残るグラウンドで幾度となく対戦を重ねた荒木内野守備走塁コーチから花束を渡され、中日ファンの陣取る右翼へ頭を下げた。「本当にドラゴンズさんに感謝です」。63日ぶりの復帰は偶然ではない。思い出深い敵地に最後の別れを告げるための必然の合流だった。練習前はグラウンドに足を踏み入れると、いろんな“声”が届いた。

 「今日も会って、引退試合も岩瀬さんも来てくれるし。タイロン・ウッズの通訳さんがよろしく言ってたよと聞いたり。いい時間をいただきました」

 感傷に浸ったのはわずかな時間だけだ。1軍という戦場に戻ってきた以上、欲するものはチームの勝利に他ならない。だからこそ、逆転サヨナラ被弾という悲劇的な幕切れに悔しさをにじませた。

 「スアレスがセーブを挙げて、そのボールもらって、サイン書いてもらって、(自身の通算245セーブと合わせて)246個目です…と言いたかったですけど。それで、250セーブ超えられたら。残念ながら、負けましたけど」

 11月10日の引退セレモニーへ向けたカウントダウンは、背番号22の生きざまを示すことでもある。ブルペンに戻ってきたという事実は“戦場”に身を投じるということ。すべてはチームへの献身だ。

 「監督の起用法を見ていても、必死に勝とうとする姿を感じるし、選手たちも応えようとしている。出番がいつあるのかなと思いながら、ゲームをリスペクトしているので。力になりたかったなと。今日負けたことで、チームの雰囲気考えちゃいますよね。自分が来たことで、力入れさせちゃったのかなとか」

 生ぬるい空気はみじんもない。自身に問うのはグラウンドでの存在意義。最後までプロフェッショナルであり続ける。 (遠藤 礼)

 《ツイッター開設》藤川は14日深夜にツイッターの公式アカウントを開設した。初投稿では「阪神タイガースの藤川球児です。突然でしかも深夜にTwitterを始めました!今の自分に少しでも力を分けてください!!頑張ります」とメッセージを発信。1軍合流前には選手寮「虎風荘」前での写真とともに「ここからは最後の戦いの場へ行ってきます」と決意表明。中日戦を終えた時点でフォロワーは3万人を超えた。

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