楽天・岸 逆転CS諦めん!“14年ノーヒッターの地”で897日ぶり完封勝利!自賛115球13K

[ 2020年10月16日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天6―0ロッテ ( 2020年10月15日    ZOZOマリン )

<ロ・楽>気迫あふれる投球の岸(撮影・長久保豊)
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 楽天の岸孝之投手(35)が15日、ロッテ戦に先発し、4勝目を2年ぶりの完封で飾った。4回まで無安打投球。2年ぶりの2桁となる13三振を奪い、わずか2安打に抑えた。今季は不振による2軍落ちも経験したベテラン右腕が、115球の熱投でチームを2連勝に導いた。2位ロッテとの直接対決で4ゲーム差に縮め、上位2球団で争われるクライマックスシリーズ(CS)進出を目指す。

 優勝もCSも決して諦めない。今カード、3本柱の大トリで先発した岸が、強い決意を白球に込めた。

 「(完封)できたことで充実感とうれしさはある。自分でもよくやったなと思います」

 クールな男が自らの投球を自賛した。初回、前日にプロ初本塁打を先頭打者弾で飾った藤原を143キロ直球で空振り三振に仕留め、雨の敵地は右腕の奪三振ショーと化した。

 「今日は持ち球が全部良かった」。その投球は6年前をほうふつさせた。西武時代の14年5月2日、同じZOZOマリンでノーヒットノーランを達成。この日も最速144キロの直球はスピンが利き、120キロ台のチェンジアップ、110キロ前後で落差のある得意のカーブを織り交ぜ、4回まで走者を四球の1人しか許さなかった。
 そのZOZOマリンでは悪夢も味わっていた。楽天に移籍後3年目の昨年3月29日。初めて開幕投手を任されたが、5回途中に左太腿裏の違和感を訴えて緊急降板した。約2カ月の離脱を余儀なくされ、プロ13年目で最少の3勝に終わった。

 「チームの力になれていない」。今季は4年契約の最終年。昨年7月に高熱で一時入院したこともあり、オフにはへんとうの摘出手術を行った。万全の状態で臨むはずだったが、3月に腰痛を発症。開幕で出遅れ、7月に復帰しても再び不振で2カ月も離脱した。
 迷惑をかけた分、少しでも取り返したい。則本昂、涌井で1勝1敗とし、迎えた第3戦。「本当に大事な試合だった」。負ければCSが遠のく正念場で、18年5月2日以来897日ぶりの完封を飾った。わずか2安打で29人斬り。それも8回まで毎回で2年ぶりとなる2桁13奪三振の力投だった。

 「(リリーフを)投げさせることなく、試合を終えたのはよかった」。1人で投げ抜いたのは、きょう16日から8ゲーム差の首位ソフトバンクとの3連戦を控える救援陣のことも考えていたからだ。「可能性がある限り、みんなで諦めずに戦っていきます」。力強い言葉で、奇跡のバトンをつないだ。(花里 雄太)

 ≪西武時代の14年5月2日には117球で「準完全」≫岸がノーヒットノーランを初めて達成。許した走者は初回2死から与えた1四球の1人だけの「準完全試合」だった。力のある直球を軸に117球で8奪三振。初回に出したこの日最速145キロを最後の打者にも計測するなど球威が最後まで衰えなかった。この時のノーヒットノーランは史上78人目だった。

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