プロ野球 143試合開催デッドラインは5・19開幕 それでも大型連戦過密スケジュール

[ 2020年4月2日 05:30 ]

23日に都内で行われたプロ野球12球団代表者会議
Photo By スポニチ

 新型コロナウイルスの感染拡大で開幕を延期しているプロ野球がレギュラーシーズン143試合を開催するための「デッドライン」を5月19日としていることが1日、分かった。越えた場合はクライマックスシリーズ(CS)の中止や試合数の削減が必要になるなど各方面で課題が噴出する見込み。12球団は3日に代表者会議を開き、現時点の目標である今月24日の開幕を5月中旬以降に延期する可能性が高い。

 球団、選手、ファン、全てのプロ野球関係者が望むのは全143試合の開催。だが新型コロナウイルスの感染は拡大の一途をたどる。現時点の開幕目標は4月24日だが、3日の12球団代表者会議でさらに延期される見込みで、日程がよりタイトになるのは確実。複数の関係者によると全試合を開催するためのデッドラインとなる開幕日が「5・19」だ。

 すでにプロ野球は東京五輪で中断する予定だった7月21日から8月13日までの期間に試合を目いっぱい組み込むなど日程のシミュレーションに着手。少しでも余裕をつくるために5月8日や15日開幕を検討している。だが同ウイルスの猛威は収まる気配がなく、ある関係者は「5月中の開幕も無理ではないか」と語る。仮に5・19でも何度か大型連戦をこなす必要があり、選手の負担は大きい。

 前日31日にはパ・リーグがオンラインでの社長会議で4月24日の開幕を見送る方針を決定。ソフトバンクの後藤芳光球団社長は「どのチームも可能なら143試合やりたい希望は持っている。その上で環境が整わないなら143できないとしても新たな開幕のタイミングを見ていこうと」と全試合開催にこだわらない姿勢も示した。

 5・19を越えた場合、CSはファーストステージ(S)を1試合制、ファイナルSを4試合制に短縮する案が議論されてきたが、中止も検討材料になる。後藤社長が示したように試合数の削減も一つの手段。ポストシーズンを参稼報酬期間外の12月まで繰り下げれば日程に大きな余裕が生まれるが、その場合は選手会との調整が必要となる。選手会の森忠仁事務局長は「そういう話がきたら選手に相談して話を聞かないといけない」と柔軟に応じる姿勢は示す。

 3日の12球団代表者会議では多くのことが議論される。現実的なのは5月中旬以降の開幕だが、開幕目標を公表するかも含めて不透明な状況。「感染拡大に一定の歯止めがかかるのを待つのが先で、開幕日の検討はそれ以降にすべき」と指摘する球団もある。ウイルスがむしばむ日本列島で、プロ野球が今できることは何か…。改めて問われる。

 【コロナ問題経過】

 ▼2月25日 巨人が29日と3月1日のヤクルト戦(東京ドーム)の無観客試合を発表。

 ▼同26日 12球団代表者会議を開き、オープン戦の残り全72試合を無観客試合にすることを決定。

 ▼3月3日 Jリーグと合同で「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設置し、第1回会議を行う。

 ▼同9日 第2回対策連絡会議で開幕延期の助言を受け、12球団代表者会議で延期を決定。

 ▼同12日 第3回対策連絡会議後に12球団代表者会議を行い、4月10日以降の開幕を目指す方針を確認。20日からは、従来予定した公式戦カードを無観客の練習試合として行うことを発表。

 ▼同23日 第4回対策連絡会議で4月後半の開幕が望ましいと助言を受け、12球団代表者会議で4月24日の開幕を目指すことを決定。練習試合の一定期間中止を発表。

 ▼同24日 東京五輪の1年程度の延期が決定。

 ▼同26日 阪神・藤浪、長坂、伊藤隼の3選手がPCR検査を受け、新型コロナウイルスの陽性反応。

 ▼同30日 無観客の2軍の練習試合を一定期間中止にすることを決定。

 ▼同31日 パ・リーグの社長会議がオンラインで行われ、4月24日の開幕を断念する方向で一致。

続きを表示

2020年4月2日のニュース