広島・菊池、来オフにもメジャー 球団にポスティング直訴「挑戦したい」

[ 2018年12月22日 05:30 ]

ポスティングでの米挑戦意思を球団に伝えたことを明かした   菊池(撮影・成瀬 徹)
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 広島・菊池涼介内野手(28)が21日、広島市南区の球団事務所での契約更改後、来オフにもメジャーに挑戦したい意向を表明した。順調なら3年後の2021年に海外フリーエージェント(FA)権を取得する。その前にリーグ4連覇に貢献した上で、ポスティングシステムを利用しての移籍を目指す。交渉では、5000万円増でチーム最高となる推定年俸2億4000万円でサインした。

 交渉時間にして30分弱。金額への質問には「ご想像にお任せします」と口を閉ざした菊池涼だが、順調なら来季に取得する国内FA権の話題に自ら触れ、ファンには衝撃的な言葉を切り出した。

 「“来年メジャーに挑戦したい、ポスティングをお願いします”という話をさせてもらった。自分にハッパをかける意味を込めて」

 野球人としての夢でもあるメジャー挑戦。現実的なものとして意識したのは、17年春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だ。侍ジャパンの一員として参戦し、二塁守備で超美技を連発して世界を驚かせたことは記憶に新しい。

 「野球をやっている以上はトップのレベルでやりたい。ボクもその1人。WBCでその思いが強くなった」

 米国メディアに「魔法使い」「忍者」などと称賛され、MLBで名前を認知された。自身も本場の空気に触れ、実際にプレーしたことで気持ちは強まった。松田元オーナーには帰国後の早い段階で将来的な目標として意思を伝えている。

 一緒にチームを引っ張ってきた丸が今オフ巨人にFA移籍。菊池涼も身の振り方を考え始め「今年がダメだった分、来年は成績を残さないといけない。そこは大前提」。奮起を誓い、挑戦を公表することでモチベーションにする意図もある。

 交渉では、5000万円増の年俸2億4000万円で来季の契約を結んだ。6年連続ゴールデングラブ賞を誇る好守で3連覇に貢献した今季。打率・233ながら要所での好打が認められ、契約自体は「5分で終わった」と笑う。

 「丸が抜け、新井さんが引退した穴はみんなでカバーし、来季も優勝したい。自覚を持ち、胸を張ってチームを引っ張っていけるよう頑張りたい」

 リーグ4連覇を果たし、35年ぶりの日本一に貢献した上で、チームメートやファンに認めてもらって送り出される形が理想。その動向は来季、グラウンド内外で注目を集める。(江尾 卓也)

 ▽菊池の17年WBC 全7試合に「2番・二塁」で先発出場し打率・267、1本塁打4打点。守備では再三の美技を見せ、中でも絶賛を受けたのが2次ラウンド・オランダ戦だ。7回、ボガーツ(レッドソックス)の痛烈な投手返しを逆シングルでダイビングキャッチ。立ち上がらずに二塁へバックハンドのグラブトスを送り、一塁走者を封殺した。「MLB.TV」の実況は「God hand!!(神の手)」と絶叫。MLB公式サイトもすぐに動画を公開した。

 ◆菊池 涼介(きくち・りょうすけ)1990年(平2)3月11日生まれ、東京都出身の28歳。長野・武蔵工大二から中京学院大に進み、11年ドラフト2位で広島入団。2年目の13年から頭角を現し、14年に二塁手535補殺のプロ野球新記録。16年は181安打で初タイトルとなる最多安打を獲得した。13〜18年ゴールデングラブ賞。通算909試合出場、打率・272、72本塁打、331打点、93盗塁。1メートル71、72キロ。右投げ右打ち。

 ▽ポスティングシステム 日本の所属球団は11月1日から12月5日までの間に大リーグ側に申請し、米30球団に通知された翌日から30日間、獲得希望の全球団と交渉できる。上限2000万ドル(約22億2000万円)だった譲渡金は変動制に改定。契約金、年俸、バイアウト(契約解除)額の総額を「トータル・ギャランティー・バリュー」とし、2500万ドル(約27億7500万円)までの部分に20%、2500万ドルから5000万ドル(約55億5000万円)までの部分に17・5%、5000万ドルを超えた部分に15%をかけた額を足し譲渡金を算出する。本制度は今年の11月1日から3年契約。

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2018年12月22日のニュース