大谷の元同僚、レンジャーズのマーティンは心優しきナイスガイ 来季も見たい対決

[ 2018年10月13日 09:26 ]

9月26日、エンゼルス―レンジャーズの8回1死、日本ハム時代の同僚・マーティン(左)から決勝の22号ソロを放つ大谷(撮影・会津 智海)
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 大リーグはポストシーズン真っ盛りだが、少しだけさかのぼりたい。9月26日のエンゼルス―レンジャーズ戦。昨季まで日本ハムに在籍し、今季からレ軍に移籍したマーティンを試合後に取材した。取材が一段落すると、マーティンはずっとこちらを見ていた。「まだ質問したいことがあるだろ?」。英語がおぼつかない私に助け舟を出してくれた。

 「試合前に大谷と何か話した?」。簡単な英語でそう聞くと、マーティンは語り始めた。「昨日、話したよ。ファンタジー・フットボール(米国で人気のシミュレーションゲーム)で彼のチームはボロボロだって話をした。だから、今日は勝たせてやったんだ(笑い)」。この日は同点の8回にメジャー初対戦だった大谷に決勝の22号ソロを浴びた。打たれて気分は良くないはずだが、日本メディアに対して紳士的に対応する姿には心の底から感謝した。

 マーティンは16、17年に日本ハムでプレー。中継ぎや抑えで通算92試合、2勝2敗22セーブ、防御率1・12の好成績を残し、今季は故郷のテキサスで念願のメジャー復帰を果たした。筆者は日本ハムの担当記者時代から取材させてもらっているが、来日当初は審判にボークを頻繁に取られ、いらだつ姿をよく見ていた。同僚のレアードのように根っから明るいタイプでもなく、いつもボソボソと話すので、怖い印象さえあった。だが、それは完全な間違いだった。

 「ボール先行になり、彼(大谷)から教えてもらったスプリットを投げたかったが、投げられない状況になった。本塁打を打たれた球は良い球だと思ったが、投げるべき球ではなかった」。多少早口だが、相手の目を見て、分かりやすいよう丁寧に説明してくれた。潔く負けを受け入れる姿は格好良かった。

 身長は2メートル3で、日本ハム時代の愛称は「キリン」。グローブの刺しゅうにもそのままカタカナで入れていた。祖母ががんで亡くなったことを理由に「キリン」をデザインしたTシャツを販売。売り上げを全てがん研究に寄付するなど社会貢献活動にも力を入れている心優しきナイスガイだ。余談だが、本拠地グローブライフ・パークのロッカーには「日本ハム時代にファンからもらった」という「ジンギスカンのジンくん」と呼ばれる北海道のゆるキャラのぬいぐるみが飾られている。日本で過ごした2年間はマーティンにとって大切な思い出だ。

 今季は46試合に投げ1勝5敗、防御率4・54。試合後、マーティンは大谷について「同地区(ア・リーグ西地区)のライバルだが、シーズン最後に初対決できた。これからも対決機会はあるだろう」とうれしそうに語り、大谷も「一緒に戦ってきた選手なので、打ちたいなという気持ちは他の投手よりも強い。次回以降も全力で、何とか打てるように頑張っていきたい」と話していた。来季も2人の熱い戦いが見たい。(記者コラム・柳原 直之)

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