雄星 男泣きV王手 19度目正直!ソフトBに勝った「エースと呼ばれながら認められないと」

[ 2018年9月29日 05:30 ]

パ・リーグ   西武5―3ソフトバンク ( 2018年9月28日    メットライフD )

<西・ソ>6回2死一塁、中村が勝ち越し2ランを放ち、ベンチ前でガッツポーズする菊池(撮影・木村 揚輔)
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 西武が10年ぶりのリーグ制覇へ、優勝マジック1とした。菊池雄星投手(27)が28日のソフトバンク戦に先発し、7回8安打3失点で今季14勝目。プロ入りしてから一度も勝てなかった因縁の相手に19度目の登板でついに初勝利を飾った。チームは12連勝で、日本一に輝いた2008年以来となるリーグ制覇に王手。29日、本拠地で歓喜の胴上げを成し遂げる。

 階段を駆け上がるなり、菊池は自ら切り出した。「泣いてないですよ」。ロッカールーム前に陣取った報道陣を制するような第一声。だが、その目は赤く染まったままだった。直前のお立ち台で、ソフトバンク戦初勝利を問われて唇をかみしめた23秒間の沈黙。この男泣きが、全てを物語っていた。

 通算19試合目の登板で初めて勝った。「ソフトバンクに勝たない限りはファンの皆さんにも、チームメートにもエースと呼ばれながら認められないと思っていた。一番大事な3連戦で勝ててよかった」。13連敗の天敵は手ごわかった。

 初回に山川の46号3ランで援護をもらったが、3回に3点を失った。無死二、三塁から内野ゴロで1点を許し、2死三塁では柳田のバットをへし折ったが、打球と一緒にバットが飛んでいったため、浅村の打球処理が遅れた。この内野安打で1点差。さらに中村晃に左前打で同点とされた。

 「ボール自体は初回からよかったので自信を持って、打線を信じて投げていた」

 6回に中村の勝ち越し2ランが飛び出した瞬間には、ベンチ前で両手を突き上げた。「鳥肌が止まらなかったです」。力を得たエースは最後の7回を7球で3者凡退に抑えた。

 11年9月15日の初対戦から7年。「早く勝ち星が欲しいなと意識してやっていた」。心に残る言葉がある。12年9月18日に敵地でKOされた直後。当時のエース岸(現楽天)に「チームの勝ち負けを背負うのは俺らだけでいい。好きなように投げろ」と声を掛けられた。

 時がたち、岸と同じ立場となってようやく真のエースと誇れる白星を手にした。「今日は雄星が大きく変わる1日だと思っていた。よく粘った」と辻監督。そのエースが引き寄せた12連勝と、マジック1で迎える本拠地最終戦。しかも58年の西鉄以来となる13連勝Vの可能性に指揮官は「生まれた年なので、それも運命を感じる。ここまできたら明日舞いたい」と言った。

 10年以来8年ぶりのソフトバンク戦勝ち越しも決定。「僕の負けが8年間、あったと思うので1勝でも貢献できてうれしい」。エースはそう言って、涙をしまった。 (春川 英樹)

 《史上2度目なるか》西武が12連勝を飾り優勝へのマジックナンバーを1とした。29日のソフトバンク戦に勝つか引き分ければ10年ぶり22度目のリーグVが決まる。なお、29日も勝って2桁連勝でVとなれば、前身の西鉄が58年に13連勝で優勝を決めて以来60年ぶり史上2度目となるがどうか。

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