阪神・秋山、高卒新人だった8年前の完封勝利は…

[ 2018年5月8日 23:07 ]

 阪神の秋山拓巳投手(27)が8日の巨人戦で9回5安打9奪三振の好投で今季3勝目を飾った。完封勝利は、高卒新人だった9月12日のヤクルト戦(甲子園)以来、実に8年ぶり。敵地のヒーローインタビューでは「8年ぶりは本当に恥ずかしいですけど」と照れ笑いを浮かべた右腕。8年前に完封勝利した際の記事を再掲する。

【10年9月13日付紙面に掲載】

 正真正銘の救世主や!阪神の高卒ルーキー・秋山拓巳投手(19)が12日、プロ入り後初登板となった本拠地・甲子園でプロ初完封を無四球で飾り3勝目を挙げた。ドラフト制以降、球団の高卒新人の完封は67年の江夏、86年の遠山以来3人目の快挙となった。さらにチームの連敗を止めたのはこれで3度目。重圧にも屈しない“アッキャマン”が真弓阪神の窮地を救った。

 最高の場所で最高の笑顔がはじけた。9回1死一塁から飯原をこん身の直球で二ゴロ併殺。快挙へのカウントダウンは瞬く間に過ぎ去った。関本から受け取った3勝目のウイニングボールを手に勝利のハイタッチに加わった。スコアボードに並べた9つの0。球団の高卒ドラフトルーキーの完封勝利は67年江夏豊、86年遠山昭治(ともに2回記録)以来3人目となった。

  快挙の手応えはプレーボール直後からあった。初回、先頭の青木に中前打されるも、本人は「詰まったって感じでした」と意に介さず。後続を打ち取ると、4回には前日藤川から逆転本塁打を放ったホワイトセルを112キロカーブで空振り三振。MAX144キロの直球と低めを突くスライダーで的を絞らせず三塁を踏ませなかった。

  「これまで(連敗を)2回止めたってことだったんで。前回よりは気にしてました」。8月28日(ヤクルト戦)、9月5日(広島戦)ではチームの連敗を2で止めた。3度目のストッパーとなったこの日は、中日戦から引き分けを挟んで4連敗の危機を救ってみせた。多投したカーブの影響で親指の付け根から出血するアクシデントもあったが重圧に屈しない強じんな精神力がものを言った。

 「プロに入って初めての甲子園のマウンドだったんですけど、変に落ち着きがあって。一番落ち着いて投げられた印象が強いです」。聖地のマウンドは09年8月16日、西条高3年で出場した夏の甲子園2回戦の明豊戦以来だった。

 後輩の涙も力に変えた。7月27日、2年連続の甲子園出場を目指した母校は愛媛県予選の準決勝で宇和島東に敗れた。かなわなかった後輩たちの夢。敗戦の翌日、秋山は小寺俊輔捕手(3年)に電話を入れた。「ベスト4までいってようがんばったよ。上出来や」。号泣する後輩のおえつを聞いて涙腺は決壊しかけた。「あいつが泣きすぎて会話にならなかったんですよね。でも、あんな声を聞いて自分が甲子園のマウンドにもう一度あがる姿を後輩たちに見せないとって」。先輩の意地も込めた93球の快投劇。球団新人の無四球完封はドラフト制以前の55年9月23日、西村一孔が中日戦で記録して以来、実に55年ぶりだ。

 「高校時代から進化できて、プロ野球選手としてもマウンドに立てて。初登板で完封できてよかったです」

 7回には2死三塁の「どうしても1点が欲しい」場面では左前打でプロ初打点も記録。「秋山コールを聞きたかったんで聞けてよかったです」。投打で輝いた“アッキャマン”に試合後も声援は鳴りやまなかった。19歳の背中には「救世主」の文字がはっきりと浮かび上がっていた。(遠藤 礼)

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