阪神・岡崎 初サヨナラ打 人生変わった!V弾に続く連日ヒーロー

[ 2017年6月5日 05:30 ]

日本生命セ・パ交流戦   阪神4―3日本ハム ( 2017年6月4日    甲子園 )

<神・日>延長11回1死満塁、岡崎は左前にサヨナラ適時打を放ち金本監督(左)に抱きかかえられる
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 連日の“岡崎劇場”に、今季最多の4万6744大観衆が酔いしれた。阪神は4日、日本ハム戦(甲子園)に4―3で勝利した。同点で迎えた延長11回1死満塁で岡崎太一捕手(33)が三塁線を破る自身初のサヨナラ打。プロ初本塁打を逆転2ランで決めた前夜に続く主役となった。劇的勝利でチームは貯金を再び2桁の「10」とし、首位・広島を1差でピタリと追う。

 プロ13年目の苦労人の描くドラマには、続きがあった。延長10回の守備から途中出場し、巡ってきた11回1死満塁の好機。直前に、原口の遊ゴロで併殺かと思われたが、二塁ベースカバーに入った石井が遊撃・中島からの送球を捕球できず。あるはずのなかった打席へ、岡崎は「執念」だけを胸に向かった

 「四球でも良い。インコースなら当たっても良い。何とか(バットに)当てようと」

 追い込まれてから7球ファウルで粘ってフルカウントとし、13球目の直球を三塁線へ運んだ。ナインから祝福の“シャワー”でずぶ濡れになると、待ち構えていた金本監督の胸に迷わず飛び込んだ。

 「抱きついてきて、重かった」と笑った指揮官だけでなく、ファン、報道陣…背番号57を見つめるすべての人が祝福に満ちた幸せな時間を共有した。

 前夜は4回にプロ1号逆転2ランを放った。興奮冷めやらぬ中、自宅に帰ると、妻は涙を流し「ありがとう…」と玄関で迎えてくれた。3人の子どもは、実家に帰省していたため、野球の神様が用意してくれた夫婦水入らずの祝勝会。「(妻が)“よそ行き”の料理を作ってくれた」と喜びを分かち合った。

 シーズン中でも休日は家族のために、時間を費やす。天体観測にバーベキュー…。得意技と自負するのは「テントの組み立て」だ。昨夏、小学校2年だった長男を愛車の助手席に乗せると、深夜に向かったのは西宮市の「甲山」。「男だったら1回はやってみたいやろ」と、カブトムシ獲りに連れて行った。収穫は上々で、虫かごの中で光る“黒い宝石”を見つめる愛息の顔を見て、“明日”への力はみなぎった。

 「家族を守りたい思いがあるから、グラウンドでも身を挺してプレーできる。結果で恩返しすることが一番やけど、子どもには“お父さん”もしっかりしてあげたいからね」

 2日のスクイズ失敗という悪夢から幕を開けた3日間は、金本監督も「なんか人生変わってきたね」と驚嘆するほどの劇的展開を迎えた。2度あることは3度ある――。岡崎太一が演じる筋書きのないドラマには、まだまだ続きがある。(遠藤 礼)

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