【吉村禎章氏分析】清宮の進化 左膝に余裕でき上体頼み“卒業”

[ 2017年6月5日 08:45 ]

招待試合   早実1―5享栄 ( 2017年6月4日    小牧市民 )

早実・清宮の3年時の打撃フォーム(右から1〜10)
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 スポニチ本紙評論家・吉村禎章氏(54)が早実・清宮の打撃フォームを分析した。1年生の時と現在の連続写真を比較し、成長したポイントを解説した。

 1年時と3年時の(1)を比べ、まず目が行くのが左膝だ。(2)〜(3)にかけて右足を「すり足」に近い形で軸足に近づけるようにしているが、左膝に余裕がある。ここが2年間で最も進歩した点だろう。

 左膝、そして左の股関節にしっかりと体重が乗っている。打撃で何より重要な点だ。絞り込む、とでも言おうか。かつては右足を大きく上げていたが、2年前の(3)を見ても分かるように、以前は軸足に体重がうまく乗り切らずパワーが分散してしまっていた。

 そして(4)〜(7)にかけてのステップ。1年時の(6)、(7)を見ると、左の腰から股関節にかけたラインが「ほどけている」のが分かる。下半身のタメがなくなってしまい、頭(上体)が投手寄りに突っ込み気味になるのだ。

 それが今では、(6)の写真のユニホームの左股関節付近には何本ものしわが入っている。グッと体重が残り、そこから下半身主導のバットコントロール。(7)では左肘が締まり、(8)にかけてバットが体の内側から最短距離で出てくる。軸足に体重が残る時間が長ければ、それだけボールを長く見られる。パワーもたまる。そして一気に爆発――。打球に伝わるエネルギーが増し、清宮は打球の質自体が大きく変わった。

 そして(8)のインパクト以降。2年前は手だけでスイングする感じで、バットをボールにガツンとぶつけにいくイメージ。今では頭が重心とともに捕手側に残り、下半身で始動→上半身に連動しながら球を見極め、自分のタイミングでスイングしている。

 体の強さがあるがゆえ、以前は上体だけに頼る打撃も見られた。今では下半身主導で、柔軟性も身に付けた。変化球に対するもろさのようなものは消え、直球に食い込まれたとしても持ち前のパワーで遠くに飛ばす。成長と凄みを感じる。 (スポニチ本紙評論家)

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