“未来のエース対決”オリ佐藤世那が躍動「負けたくなかった」

[ 2016年6月18日 08:50 ]

<ウエスタンリーグ オ・神>6回1失点の佐藤世那

 オリックスの“未来のエース”が、17日のウエスタン・リーグ阪神戦(舞洲)で躍動した。ドラフト6位で仙台育英から入団した佐藤世那だ。

 9日の同阪神戦では5回途中7失点でKO。左打者のインコースをついたが、3被弾をくらうなど完敗の内容だったが、この日は違った。1軍経験が豊富な伊藤のリードにも助けられ、6回まで2安打1失点(自責点0)。5奪三振の力投だった。

 「この前とそんなに変わっていないのですが、(伊藤)光さんに違った配球をしてもらって勉強になりました。気持ちでも負けたくなかった」。

 阪神の先発は同じ高卒ルーキーの望月。「名前を聞いて、意識してしまうところもあった」と胸の内を明かしたが、闘争心をうまく力にかえた。望月は5回5安打1失点。未来のエース対決は、どちらも譲らない結果だった。

 大きな変化は、この1週間で最も練習したというカーブだ。「前回は1球も投げていない」という変化球で阪神打線を困惑させた。直球のMAXは143キロだが、カーブ効果で先発に必要な緩急が特に際だった。仙台育英時代は少し横振りのフォームだったが、現在は真上からたたき落とすような縦振り。「カーブのリリースが良くなった」と、ニューSENA誕生を予感させる快投でもあった。

 この日の試合会場である舞洲には「いい思い出しかないです」と笑う。昨夏のU18ワールドカップでも使用された会場で、佐藤世は2勝を挙げて先発投手部門で大会オールスターにも選出されている。とくに8月29日の米国戦では、9回を5安打完封。米国には2試合で計13イニングを投げて無失点だった。大会優勝は米国にさらわれたが、日本にも「SENA」がいると存在感を示した場所でもある。

 さらに舞洲には、来季からオリックスの2軍施設が移転することも決定している。現在、舞洲スタジアムの横にサブ球場を建設中。この日はオリックスの球団関係者が、外周から工事中の室内練習場や選手寮などを視察する場面もあった。来季から2軍戦の開催を予定しており、この日はいわば“プレ開幕”。その舞洲で、佐藤世が頼もしい快投を見せてくれたことは、ファンには大きな喜びだろう。

 「きょうは四球がなかったのが一番よかった。ストレートも打者の手元の感じがよかったみたいで、手応えもあった」。未来のエースとはいえ、6月2日に19歳になったばかりの右腕。笑みの漏れた顔には、まだあどけなさが残っていた。(鶴崎 唯史)

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2016年6月18日のニュース