筑後市が誘致成功「お金以上の価値」期待 町の誇り生まれた

[ 2016年5月17日 11:20 ]

3000人以上を収容できるタマホームスタジアム筑後
Photo By スポニチ

HAWKSベースボールパーク筑後

 福岡県南部の、のどかな田園地帯。施設の誘致に成功した、筑後市ホークスファーム連携推進室室長の江崎紹泰さん(45)は「正直、勝ち残れるとは思わなかった。市の歴史にとって大きな出来事。熱意が届いたのだと思う」と振り返る。

 13年8月、球団が福岡市東区の雁の巣球場の老朽化などに加え、2、3軍が一体化した施設で練習することでさらなる育成環境の充実を求めて移転先を公募。筑後市は九州5県34市町の中から1次審査を突破した。

 残ったのは、筑後市に福岡市、北九州市、宮若市。筑後市の人口約4万9000人に対し、福岡市は約150万人、北九州市は約100万人。数字的には圧倒的に不利な中、「周辺自治体とも連携して、官民挙げてあの手、この手で」(江崎さん)誘致活動にまい進した。署名運動、Tシャツ作製、市議がユニホームを着た市議会…。プレゼンでは「交通アクセスの良さ」などを強調。博多駅から筑後船小屋駅まで九州新幹線で25分。球場までは同駅から徒歩で5分だ。熱心な活動が実って、13年12月25日に移転先として決定した。

 土地取得費などは約14億5000万円。江崎さんは「PR効果などを含めれば、お金以上の価値がある」と強調する。何より大きいのは「住民に自分たちの町への誇りが生まれたこと。活気が出てきた」。観光名所が乏しかった地方都市が、プロ球団のホームタウンになった。「究極の町おこし」(江崎さん)で、さらなる発展につなげる。

 ▽福岡県筑後市 福岡県南部、筑後平野の中央に位置する田園都市。1954年4月に羽犬塚町、水田村、古川村、岡山村(一部)が合併して誕生した。面積は41.85平方キロメートル。人口4万9012人(16年3月31日現在)。中村征一市長。

続きを表示

この記事のフォト

2016年5月17日のニュース