阪神マートン “苦手”満塁でV打 ボール気味もパワーで運んだ

[ 2015年7月29日 05:30 ]

<中・神>3回2死満塁、マートンは左前適時打を放つ

セ・リーグ 阪神6-4中日

(7月28日 ナゴヤD)
 虎打線が一気につながった。2点差を追いついた3回、なおも2死満塁。押せ押せの状況で巡ってきた第2打席だ。カウント1ボール2ストライクからの4球目。山井の失投にマートンの体が素直に反応した。内角高めに抜けたフォークをとらえた一打は左前へ弾む決勝の2点適時打になった。

 「ボール気味だったけれども、いい所に落ちてくれて良かった。ラッキーなこともあるね。自分だけじゃなく、チーム全体がいい流れだった」

 見逃せばボール球だったかもしれない。それを本来のコンパクトなスイングでとらえた。今季の満塁機では過去9打数1安打。“苦手”の状況を克服し、従来の勝負強さを見せつけたことで復調をまた印象づけた。好相性にも背中を押された。今季の中日戦の対戦打率は・323。満塁で唯一の安打も4月16日の中日戦(ナゴヤドーム)で、くしくも放った相手も山井だった。

 連勝を決めた一打を和田監督も評価した。「力で持って行った部分もあるけど、しっかりバットが(体に)巻き付いていた」。マートンだけではない。3回は打者12人を送り込んで6安打6得点の猛攻。1死満塁からは上本、福留が右前適時打を右前適時打を連ねて試合を振り出しに戻し、マートンの殊勲打をお膳立てした。7番の江越から始まった打順下位からの攻撃で山井を攻略した。

 「イケイケでチャンスだったんで。初球から行ってやれと。もちろん(フォークも)頭に入っていた。一発で仕留められたことは良かったんじゃないですか」

 攻撃の勢いを加速させた福留も笑顔で振り返った。9回を通じて安打が出たのは3回だけ。効率的かつ見事な集中打だった。「(ドーム球場は)蒸し暑くないからね。涼しいからね」。連勝を決めた帰路をマートンもご機嫌後で歩いた。3回以外の沈黙を“宿題”として受け止められるのは勝ったからだ。むしろ一点集中の勢いが光った逆転勝利だった。 (山本 浩之)

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2015年7月29日のニュース