PL学園 事態好転目指した夏終わるも…部存続へ希望も

[ 2015年7月29日 06:22 ]

<PL学園・大体大浪商>敗戦に肩を落とすPL学園ナイン

第97回全国高校野球選手権大阪大会準々決勝 PL学園1―2大体大浪商

(7月28日 舞洲)
 第97回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)の大阪大会は28日に準々決勝があり、春夏合わせて7度の全国制覇を誇る名門、PL学園が大体大浪商に1―2で惜敗した。今春の部員募集を停止するなど部の存続問題に揺れる同校。3年生部員が抜けると、2年生はわずか11人しか残らない。甲子園出場による事態好転を願った夏は幕を閉じた。

 短くて濃密なPL学園の夏が終わった。2代続けて野球経験のない校長が監督を務める異常事態で迎えた今夏。6年ぶりの甲子園出場を狙った戦いは、準々決勝で途絶えた。かつては大阪の勢力図を分けた、大体大浪商の校歌を聞きながら部員は号泣した。草野裕樹監督(64)は「一生懸命やってくれた。監督の責任です」と選手をかばった。

 5回、遊撃手の謝名堂主将が目測を誤り、後方の小飛球を落球。先制点を許した。7回にグルラジャニの一発で同点に追いついた直後の8回、山本が北山に勝ち越し弾を浴びた。13年2月に起こった部内暴力で当時の監督が退任、6カ月間の対外試合禁止処分が科された。今の3年生は入学直後から試合もできず、ずっと正監督不在の中で野球を続けてきた学年だ。「入学してからずっと不安だらけでしたが、最後にみんなとプレーできたことはいい経験になりました」。謝名堂は声を絞り出した。

 今春の新入部員受け入れ停止に続き、来春も受け入れないことが決まっている。富田林市内の同校にある老朽化したスコアボード、かつての野球部寮「研志寮」、雨天練習場などは今秋をメドに取り壊される。専用グラウンドも教団から返還を求められ、取り巻く環境は以前に増して厳しい。

 屋台骨を支えてきた深瀬猛ヘッドコーチ(46)と投手担当の明石俊治コーチ(49)もこの試合を最後に退任し、8月以降、実質的な指導者は教員の千葉智哉コーチだけ。土井塁人外野手(2年生)が留年している関係で2年生部員は11人しか残らない。特待生ではない、一般入試で入学した部員ばかりだ。今後は練習もままならぬ状況で、各校に合同練習を申し込んでいる。

 野球部は今の部員と一切交わりのない17年度から新入部員を受け入れたい意向を持ち、草野監督も「一度立て直して再スタートを切りたい」と部の存続に含みを持たせた。他部も使う新室内練習場は年内完成予定。「OBが築き上げてきたものがある。それに応えたい」。甲子園出場による事態の好転を目指した夏は終わったが、わずかに希望も残されている。(吉仲 博幸)

 ▼元中日・立浪和義氏(1987年度卒)大変な状況でよく頑張ってくれた。今後はどうなるか分からないが、OBとしては復活して強くなることを期待している。

 ▼阪神・福留(1995年度卒)野球をやる以上、何人であろうと、最後までやれることを目いっぱいやってほしい。PLという野球を楽しんで全うしてもらったらいいんじゃないか。

 ▼広島・前田健(06年度卒)大変な状況だったと思うし、僕たちが経験したことのない中で戦っていたと思う。甲子園に行ってほしかったけど、財産にはなったと思う。

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2015年7月29日のニュース