野球とソフトボール 20年東京五輪復活へ8日“運命の”IOC臨時総会

[ 2014年12月8日 05:30 ]

巨人のOB会総会会場に入る王氏は野球の五輪種目復帰に期待していた

 国際オリンピック委員会(IOC)の臨時総会が8日から2日間、モナコで開催される。注目の実施競技の見直しは8日午前9時45分(日本時間同午後5時45分)から話し合われ28の競技数上限の撤廃や、五輪開催都市が実施種目を提案できる項目を盛り込んだ中長期改革「五輪アジェンダ2020」が審議される。承認されれば、2020年東京五輪での野球・ソフトボールの追加が有力視され、来年7月のIOC総会(クアラルンプール)で同競技の復活が決まる。

 日本の野球界にとって、運命の一日が訪れる。東京五輪組織委員会の顧問を務めるソフトバンク・王貞治球団会長はこの日、都内で行われた巨人のOB会総会に出席。8日のIOC臨時総会で実施種目追加の改革案が承認されれば野球競技復活へ大きく前進するだけに「そうなってくれれば一番いい。東京で(野球・ソフトボールを)やってくれたら」と祈り、「僕たちは待っている身。受け身だからさ」と続けた。

 臨時総会では2020年東京五輪に向け、IOCのトーマス・バッハ会長が推進する40項目の中長期改革「五輪アジェンダ2020」が審議される。五輪改革をテーマに掲げるバッハ会長は「柔軟性がキーワード。五輪も変革の時が来た」と意気込み、その目玉となるのが、実施競技の見直し。現行の夏季五輪で最大28競技と定めた上限を撤廃し、310種目を上限として、五輪開催都市に種目の追加提案を認める項目である。IOCの広報責任者は「提案の1項目ずつ、約100人のIOC委員による投票で採決する」と説明した。

 IOC委員の中では承認されるとの見方が強まっている。モナコ入りした各国オリンピック委員会連合(ANOC)会長のシェイク・アハマド委員は「歴史的な五輪の転換期だ」と改革に全面支持を表明。古参のディック・パウンド委員は「大きな懸念はない。スムーズに議決されるだろう」との見解を示した。

 改革案が承認されれば、野球・ソフトボールは空手やスカッシュと並んで追加候補に挙がり、最終決定することが濃厚な来年7月の総会で選ばれる可能性は高い。王会長は今年6月に世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のリカルド・フラッカリ会長らとともに東京都庁を訪れ、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長に五輪実施競技復活を直訴。森会長も「野球は多くの日本のみなさんに愛され、ファンも多い。五輪種目となれば日本中の多くの方が喜んでくれる」と好意的な言葉を送っており、実施された場合の会場としても、既に巨人の本拠・東京ドームが検討されている。

 その森会長は臨時総会に出席するため、同組織委員会の武藤敏郎事務総長らとともにモナコ入り。武藤事務総長は「大きな改革。開催地の柔軟化と、実施種目の提案権の2点に注目している」と期待を寄せた。

 ◇野球・ソフトボールのこれまでの経過

 ▼05年7月8日 シンガポールでのIOC総会で、12年ロンドン五輪の実施競技から野球とソフトボールを除外することが決定。

 ▼08年8月21日 北京五輪でソフトボールの女子日本代表が金メダル。

 ▼同23日 星野監督率いる野球日本代表は4位に終わる。

 ▼09年10月9日 デンマークでのIOC総会で16年リオデジャネイロ五輪でゴルフと7人制ラグビーを実施競技として採用決定。野球とソフトボールの復帰ならず。

 ▼13年4月14日 野球とソフトボールの競技団体を統合した、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)を設立。

 ▼9月7~8日 アルゼンチンでのIOC総会で、20年の東京五輪開催が決定。実施競技にはレスリングが選ばれ、野球・ソフトボールとスカッシュは落選。

 ▼11月20日 IOCのトーマス・バッハ会長が「五輪は開催国の文化や社会を反映すべき」と東京五輪での野球・ソフトボールの実施競技復活の可能性を示唆。

 ▼14年11月18日 バッハ会長が進める中長期改革「五輪アジェンダ2020」を発表。

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