G1周年記念競走展望

【G1からつ全日本王者決定戦】飛躍の時 山田康二

[ 2014年1月13日 05:30 ]

地元で気合が入る山田康二
Photo By スポニチ

 ボートレースからつG1「開設60周年記念 全日本王者決定戦」は14日に初日をオープン。6日間に渡って覇を争う。13年の全日本選手権でSGV7を達成し、年間の最高勝率を残した瓜生正義が主軸。しかし、王者・松井繁をはじめ、当地では58周年を制しチャレンジカップでSGVを飾った地でもある今垣光太郎ら強豪がめじろ押し。地元勢では周年初Vを狙う峰竜太が仁王立ちだ。そして地元周年は2回目となる俊英・山田康二がひと回り成長した姿を披露する。昨年秋から絶好調の波に乗る山田からも目が離せない。

 色づく秋。木枯らし吹き抜ける初冬。落ち葉に吹きつける風速が増すように勢いづいたのが山田康二だ。昨年は10月の三国で優勝。その後には常滑の新鋭リーグに鳴門のG3と3場所連続の優勝を飾っている。続く丸亀では優勝戦で2着。師走にV4で臨んだ下関でも好走を演じた。連日の1番時計に追い上げも披露して優勝戦にコマを進めた。結果は優勝戦で2着。同じくV5をかけた長尾章平には枠番の差で敗れたと言っていいだろう。「最近はいいモーターも引けてるし、リズムはいいんですよ。そう優勝の回数にこだわってはいません」無欲の姿勢だがレースになると目の前の一戦にはこだわりもある。

 その山田が地元周年に目を輝かせる。「峰さんと一緒に走れるのはアドバンテージになると思います」正月シリーズに続いて師と仰ぐ峰竜太にアドバイスを仰ぐこともできるのは心強い。

 08年のからつタイトル戦でデビューした山田。早速、2勝を上げて地元ファンに強烈なインパクトを残した。10年の徳山一般戦が初の優出で2着。初の優勝を飾ったのは翌年の丸亀で新鋭リーグだったのが山田らしい。12年には最優秀新人を手にしている。1着回数に賞金獲得額も新人としては抜けた存在となるのだ。しかし13年、最後の新鋭王座では優勝候補の筆頭として注目されながら事故点オーバーで出場の機会を逸している。山田は「これを励みに一層努力します」と力強く語った。有言実行。たくましさを増し、その後も順風満帆な足取りを見せている。「地元の周年は2回目かな?初めての時は散々でしたよ」と振り返る。59周年記念はシリーズ中盤に落水し帰郷となっている。口には出さずとも今回は準優入りがひとまずの目標だろう。師と走る師走からカレンダーは新しくなって飛翔の午年を迎える。峰の姿を追い、同期でもある上野真之介と切磋琢磨(せっさたくま)し地元ファンの熱視線を浴びる。

◇瓜生 競艇界引っ張るヒーロー

 13年のボートレース界をけん引した。前期勝率は8・56(2連対率62・5%、3連対率73・5%、事故率0・00)をマークし3度目の1位。抜群の安定感でファンの期待に応えてきた。10月平和島で2回目のダービー制覇を果たし5年連続でのSG優勝。通算では7個目のタイトルとなった。賞金王決定戦は優出を逃し、黄金のヘルメットは持ち越しとなったが、存在感は艇界トップと言っていい。

 唐津は12年12月のMB大賞以来の登場。58周年記念で準Vはあるが、唐津Vは意外にも過去1回のみ。「昔は乗りにくいというイメージだったけど、最近は逆に乗りやすいイメージですね。九州の場なんで頑張りたい。2013年はイメージ通りにいい1年だった。14年の最初の記念なので気持ちをリセットして走りたい」。現住所こそ東京に移ったが、やはり九州への思い入れは強い。天性のレースセンス、スピードにさらに磨きがかかった瓜生。初日のドリームはインからきっちりと押し切って人気に応える。

◇田村 注目のトリックスター

 賞金王決定戦トライアル3回戦では3コースからまくりを決めて勝負駆けに成功し、持ち前の勝負強さを発揮した。決定戦は6号艇で6着に終わったがコース取り、動向がファンの注目を集め、レースの鍵を握った。13年は13回の優出で3V、勝率7・46と結果を残した。SGタイトル3つの内、2つがチャレンジカップと冬場は特に強く、調子を上げてくる。

 唐津は4月一般戦(優出5着)以来の出走となる。「大けがをしたこともある場なんで正直に言うといいイメージはありませんよね。ただ、苦手という意識もありません。13年は後半にペースが上がってきた感じなので14年は最初からペースをつかめたらな、と思います。だからと言って気合パンパンなんてことはないですよ。マイペースでいきます」。 

 初日ドリームは6号艇で登場とあって進入から目が離せない。多彩な攻めがさえるトリックスターに要注目だ。

◇今垣 どん底からはい上がる

 SG6Vの実績を持つ今垣が3期前は苦境に立たされた。長年、A1を張ってきた男がF2。出走回数が足らず、痛恨の事故B2に陥落。前々期はB2生活を余儀なくされた。「SGを走れないのはつまらないし、面白くない。辞めようかとも思いました」選手生活にピリオドを打つことさえ考えたという。とにかく我慢の半年だった。

 現ペラ制度への対応には「3カ月休んでB2だったから、人よりは少し遅れてるけど、いまはエンジンなりには出せるようになりました」いまでは笑ってB級生活を話せるようになった。今垣は一昨年の覇者である。「からつは相性がいいし、いいエンジンを引くんです。それに水面とは雰囲気とか三国と似てるから走りやすい」地元三国と似てるなら自信を持って走れる。そこも強みである。「まだ慎重になってるところはあるけど、前期は切って(F)ません」まだ後遺症は完全には払しょくできてはいないが、それも時間の問題。相性いい水面で完全復活だ。

◇ホームの峰が本命

 節目となる60周年記念。賞金王決定戦組5人をはじめ、今年も好メンバーがそろった。ドリーム戦は瓜生、今垣、松井、峰、赤岩、田村と豪華な組み合わせとなった。6人のうち、松井が54周年、今垣が58周年を制覇している。ドリーム組がV争いの軸になるのは間違いない。

 太田、吉川、斉藤、丸岡らももちろんV候補。太田は2年連続でグラチャンを制し、3年連続で賞金王決定戦に出場。巧みなさばきは円熟味を増した。吉川は瓜生に勝る年間108勝をマーク、安定感は群を抜く。斉藤はチャレンジカップ優出3着、大逆転で賞金王決定戦の初出場を果たした。唐津では4月一般戦で4コースまくりを決めVをさらっている。丸岡のSG2冠の勝負強さは侮れない。

 地元からは8人が出走する。リーダー格の深川は56周年でイン逃げV。常に安定した成績を残している。三井所は11月津チャレンジカップでSG初優出4着。13年は4節唐津を走り、すべて優出して1回の優勝と結果を出している。古賀繁輝は地元戦は12月にVを決めたばかり。59周年では優勝戦1号艇に座ったが、中辻崇人のまくり差しで準Vに終わり、今回は気合が入る。大久保は9月に当地V。若手の山田、上野も楽しみな存在。盛り上げるためにも地元勢の活躍は不可欠。好走に期待したい。

◇“両エース”「36号機」&「28号機」に勝率No.1「66号機」

 昨年の7月23日から使用されている現用のモーター。良しあしが鮮明となってきた。両エースとして名高いのは36号機と28号機だ。36号はおろし立ての節に前沢丈史が乗って優勝戦で2着の成績。その時から伸び足は際だっていた。10月に小宮淳史が優出4着、11月の女子リーグでは喜井つかさが優出3着。その次の節には海野康志郎が優出2着と勢いを増し正月レースでは峰竜太が鬼に金棒のごとく優勝を飾っている。28号のデビュー戦も鮮烈だった。このモーターは登録タイムが6秒45と誕生の時点からの優等生。おろし立ての節には宮迫暢彦が優勝戦では6着の終わったものの、シリーズ後半は5連勝で節間6勝と荒稼ぎをした。温水パイプの付いた10月、藤田靖弘は11戦で1着6本、2着2本。女子リーグでは若狭奈美子が10戦し1着2本に2着4本の成績を残している。この2基を押しのけてモーター勝率は6・74とNo.1なのが66号機。ただこのモーターは乗り手に恵まれているのも確か。8月に古賀繁輝が乗り、9月には渡辺浩司が優勝戦でFと散ったもののそれまでは10走して1着9本。2着が1本の成績を残した。11月の女子リーグでは小野生奈が優出6着。その次のシリーズでは山田竜一が優出5着。12月には白水勝也も「パワーもあるモーター」と絶賛した。

◇ドリーム展望

 4枠の峰を本命に推したい。助走となるからつの正月レースでは10戦して8勝。しかも後半は5連勝でまとめている。何と言ってもホームプールでは地の利が大きい。この峰、不思議なことに唐津周年での優勝がない。このドリームで弾みをつけシリーズリーダーとして名乗りを挙げよう。1枠の利。人気を集めるのは瓜生だろう。ボート界の頂点を極めようとする男がこの瓜生。得手不得手のプールなどはないが、からつでも最近3年間の勝率が8・56と死角も見当たらない。 

 峰に瓜生が1Mで火花を飛ばし合うシーンも目に浮かぶ。ズバリの差しを決めてきそうなのが今垣。一時は事故率オーバーでB2に陥落したものの近況は立ち直りを見せている。58回の周年記念で素早いP離れからインを奪って優勝したことは記憶に新しい。枠なりではカド受けの3コースとなりそうな松井。カドの峰に合流して先捲り、あるいは差しと自在に攻め込んで来よう。完全Vは8回とボート界最多を誇る赤岩。ひとつリズムをつかむと堰(せき)を切った水のように勢いを増す。そして強豪の巣窟とも言える85期生の中にあっていの一番にSGを制したのが田村だ。昨年の11月に丸亀のダイヤモンドカップを制している。SGは3冠。そのうち2回がチャレンジカップだ。冷え込んだ時季にめっぽう強い田村。昨年年末の賞金王決定戦で優出したのも記憶に新しい。道中の接戦にも強いタイプだ。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る