広島“上本の代役”羽月 初の決勝打「チャンスならどんどん振れ」首脳陣の言葉胸に

[ 2022年9月17日 04:45 ]

セ・リーグ   広島5―3DeNA ( 2022年9月16日    横浜 )

<D・広>7回、適時打を放った羽月(撮影・島崎忠彦)
Photo By スポニチ

 広島は16日のDeNA戦で、1点劣勢の7回に5安打を集中して一挙3点を奪う逆転勝利を飾り、クライマックスシリーズ(CS)進出への望みをつないだ。急きょ先発起用された羽月隆太郎内野手(22)がプロ初の決勝打をマーク。チームは連敗を阻止して4位に再浮上。試合のなかった3位・阪神にも1・5ゲーム差に迫った。

 一瞬吹きかけた秋風は、若手のがむしゃらさで吹き飛ばした。相手に2度リードされながら跳ね返した逆転星。羽月は無我夢中にバットを振ると、自身初の決勝打が生まれた。

 「何も考えていなかった。本当に、本当に食らいついただけ」

 大瀬良が逆転被弾を許した直後の7回だった。会沢の適時二塁打で同点に追いつき、なおも2死三塁。羽月の狙いは「全部」。カウント1―1から伊勢が投じたスライダーを振り抜いた。ゴロで三遊間を破る勝ち越し打となり、三塁ベンチで喜ぶ先輩らに向けて堂々と右拳を突き上げた。

 「“ヨッシャー!”という気持ちでした。とりあえず1球目を大事にしようと思い、初球から思い切っていこうと思っていました」

 急きょの先発出場だった。菊池涼はコンディション不良による先発回避が続き、代わって二塁で先発予定だった上本は試合前練習中に打球が下半身に直撃して欠場。佐々岡監督から「アクシデントがあった中で、羽月が打ってくれたのは大きかった」と称えられたように、代役としての役割を立派に果たした。

 今春、首脳陣から伝えられた役割がある。「他の選手とは違うタイプだから。自分から仕掛けるだけでなく、1球でも多く投げさせる打撃もしてほしい」。初球からスイングする積極性が持ち味ながら、これまでとは異なる役割を求められた。

 我慢の打撃を貫くもどかしい日々の中、首脳陣の言葉を自らに言い聞かせてきた。「安打でなくてもいい。四球でもいい。どんな形でも出塁すればチームのプラスになるから」。ただし首脳陣は、もう一つ付け加えていた。「チャンスなら、どんどん振っていい」。そして、7回の好機は第1ストライクからスイングしてタイミングを合わせ、3球目を決勝打に変えてみせた。

 「期待されているのであれば、うれしいですし、それに応えるために必死に頑張るだけです」。3位・阪神とは再び1・5ゲーム差に接近。若手の力も結集させて、奇跡への扉を必死につかんで離さないでいる。(河合 洋介)

続きを表示

2022年9月17日のニュース