新井貴浩氏 背中でチームを引っ張った能見 実はよく話すし、冗談も大好きな面白い後輩だった

[ 2022年9月17日 07:00 ]

オリックス・能見篤史 引退会見 ( 2022年9月16日 )

13年6月8日、お立ち台でポーズを決める能見(右)と新井
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 能見から連絡をもらった。やり切ったと言っていた。本当によく頑張ったと思う。「まだ大切な戦いが残っているから、最後まで頑張れよ」とも伝えた。

 阪神では7年間チームメート。エースで本当に頼りになった。言葉ではなく背中で引っ張る投手で、黙々とチームのために腕を振る姿が印象的だった。いまでは少なくなった、大きくキレイに振りかぶる投球フォーム。顔も男前。スマートな印象を持たれているけど、よく話すし、冗談も大好き。キャンプの紅白戦で打つと、「味方殺し」と言われた。面白い後輩だ。

 広島に戻ってからは対戦が楽しかった。同じ直球でも少し抜き気味に投げたり、シュートさせたり…。わざとやってきた。それだけのテクニックがあった。特に忘れられないのは15年5月の甲子園。広島に復帰して最初の本塁打を打ったのが能見だった。

 3ボールになり、ストライクを取りにくるチェンジアップを待った。来たのは少し抜き気味の直球。思い切り振り抜いたら左翼席へ。ベンチに戻ってハイタッチしていたら左手がおかしい。次の打席を終えて試合中に病院へ直行したら、左手中指の腱断裂。あれは「打つなよ」という能見の念?だったのかも(笑い)。

 オリックスに移籍してからはコーチも兼任。後輩から慕われ、昨季は優勝もした。これからの野球人生へ、スゴくいい経験をしたと思う。セレモニーも予定されていると聞いた。献身的な姿勢や人柄が認められたからだと思う。(スポニチ本紙評論家)

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2022年9月17日のニュース