トヨタ自動車 18大会連続日本選手権本大会出場決定 10年目・多木が9回起死回生の同点打

[ 2022年9月15日 20:17 ]

第47回社会人野球日本選手権大会 東海最終予選第1代表決定戦   トヨタ自動車2―1JR東海(延長11回タイブレーク) ( 2022年9月15日    岡崎レッドダイヤモンドスタジアム )

日本選手権出場を決めたトヨタ自動車の(左から)多木、北村、嘉陽
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 トヨタ自動車が延長11回サヨナラでJR東海を振り切り、18大会連続21度目となる本大会出場を決めた。

 頼れるベテランが試合を振り出しに戻した。初回に先制された1点が重くのしかかったまま、0―1で迎えた9回。無死一、二塁の好機で、10年目の多木裕史が値千金の一打を放った。

 「土壇場で訪れた願ってもないチャンス。後悔することのないよう初球から振りにいきました」

 左腕・喜久川大輔が投じた外寄りのカットボールをとらえると、打球は右前で弾んだ。二塁から俊足・徳本健太朗が生還して同点。東海最終予選の3試合を13打数7安打の打率・538で終えた3番打者は「初球からしっかり振れたし、いい準備ができていた」と振り返った。

 同点のお膳立てをしたのは、不動の1、2番コンビだった。9回先頭・徳本が中前打で出塁。続く2番・北村祥治が、最高のつなぎ役を見せた。

 「今季は徳本の足でかき回すというスタイルでここまでやってきた。それでダメなら、仕方がない」

 北村の高い野球脳が、相手バッテリーとの駆け引きで上回った。1ボールからの2球目。スライダーを引きつけすぎてファウルになったことで、3球目は右方向へ意識を置きながらもポイントをわずかに変えた。浮いてきたスライダーを、今度はライナー性で左前へ。一、二塁と好機を広げ、多木の同点打を呼んだ。

 こうなれば、試合の流れは絶対に手放さない。JR東海打線の前に仁王立ちしたのは、延長10回から登板した嘉陽宗一郎だった。3番から始まる主軸相手に、わずか12球で3者凡退。タイブレークに突入した延長11回は犠打で1死二、三塁とされたが、慌てることは一切なかった。

 「川尻(投手コーチ)さん“1点を嫌がらないように”と伝えられていましたので」

 7番・吉田隼を内角ストレートで詰まらせて、投ゴロ。挟殺プレーの間に2死一、三塁と局面は変わったが、続く牛場友哉を渾身(こんしん)の外角低めストレートで見逃し三振に退け、その裏のサヨナラ勝ちにつなげた。

 フル回転で勝利に貢献した。12日の西濃運輸戦では先発して7回1/3を零封。そこから中2日でこの日の一戦を迎えたが、今度はストッパーとして2回を完全救援した。「短い期間で連投できたのは自信になります」。大黒柱として期待される右腕は、大きくうなずいた。

 堂々の東海第1代表。チームとして目指すものは一つしかない。多木はナインの総意を代弁する。

 「都市対抗の4強では誰も満足していない。ここからもう一度強くなって、てっぺんを取りにいきます」

 優勝候補として乗り込む京セラドーム。攻守に隙のない野球で、5年ぶり6度目の頂点まで駆け上がる。

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2022年9月15日のニュース