「翔平はサーモンが本当に大好きだったな(笑)」ロッキーズ・イグレシアスと大谷の変わらぬ絆

[ 2022年9月12日 07:30 ]

大谷の元チームメートで、現在はロッキーズでプレーするイグレシアス(撮影・杉浦大介通信員)
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 昨季前半戦、エンゼルスの大谷翔平選手がホームランを打つたび、同僚のホセ・イグレシアス内野手が一番乗りで祝福するのが恒例だった。しかし昨年9月、攻守に精彩を欠いた小柄なキューバ出身選手は自由契約にされてしまう。1年が過ぎ、今季はロッキーズでプレーするイグレシアスが、シーズン途中まで首位打者も狙えるほど好調な打撃を続けていたと聞けばファンは驚くかもしれない。

 「気分良くプレーができているよ。長いキャリアを積み重ね、精神的に成熟したのが大きいんだろうね。心身両面で今が全盛期。そうやって自信を持ってプレーできていることが、今季の結果につながっているのだろう」

 依然としてリーグ7位の打率・300を残しているイグレシアスは8月下旬、ニューヨークでのメッツ戦の際に誇らしげにそう述べていた。

 軽快な守備が売りの選手だが、メジャー通算11年の通算打率は・280(10日現在)。過去に3割超えを果たしたシーズンもあり、もともと打撃も悪いわけではない。今季に関して特に興味深いのは、ビジターでは両リーグ3位の打率・333を残しているのに、打者優位なことで有名な本拠地クアーズ・フィールドでは・264と苦しんでいること。この点について本人にたずねると、本気とも冗談ともつかない答えが返ってきた。

 「クアーズ・フィールドはボールの動きが他の球場と違うんだよ。ロードゲームでは投手の変化球が動くべき方向に動くから打ちやすい。クアーズ・フィールド(でのベースボール)はニセモノ(Fake)なんだ(笑い)」

 この件の検証は別の機会に譲りたい。ともあれ、得点圏打率・357、走者三塁&2アウト以内の場面では17打数12安打といった驚異的な勝負強さを発揮している今季、32歳のベテランが健在ぶりを示すシーズンになっているのは確かに違いない。

 今回の取材中、人を食ったような言葉も多かったイグレシアスがふと表情を崩したのは、エンゼルス時代に親しくなった大谷についてたずねられたときのことだった。チームメートではなくなっても友情は変わらず、今でもテキストメッセージを送り合っているとか。大谷に関して、称賛とともに、愛情を感じさせる言葉は尽きなかった。

 「翔平は本当にいい男だし、プロフェッショナル。だから僕たちは気が合ったんだよ。僕がこれまでの人生で出会った中で最高の人間の1人だ。翔平との関わりで驚いたこと?彼がいつでも“オナカスイタ”とばかり言っていることだ。常に空腹で、本当によく食べる。大食漢だよ。ごはんとサーモンをたくさん食べる。翔平はサーモンが本当に大好きだったな……(笑い)」

 そんなふうに一気にまくし立てたナイスガイは、ロッキーズとの年俸500万ドル(約7億1500万円)の1年契約が切れる今オフ、再びFAになる。来年には33歳とまた1つ年齢を重ねるが、老け込む年ではない。どこかの強豪がすぐに白羽の矢を立てることだろう。今季、まだ十分に働けることを証明し、英語が母国語ではない選手ともしっかりと心を通わせるコミュニケーション能力を持ったショートストップを、多くのチームが獲得したいと思うだろうからだ。(杉浦大介通信員)

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2022年9月12日のニュース