92年以来の選抜出場へ 御殿場西、9回5点差逆転サヨナラ!有海主将「監督の言葉は凄い」

[ 2022年9月12日 04:00 ]

第75回秋季高校野球静岡県大会2回戦   御殿場西6―5小笠 ( 2022年9月11日    草薙 )

<小笠・御殿場西>9回5点差を一気にひっくり返すミラクル!名古の適時打でサヨナラの生還をした有海
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 小野晋吾投手(47=ロッテ1軍投手コーチ)を擁した1992年(平4)以来2度目の選抜出場を狙う御殿場西が、小笠相手に9回5点差をひっくり返す劇的な逆転勝利を飾った。主将で9番・有海樹右翼手(2年)の左越え走者一掃三塁打で追いつくと、最後は名古竣祐一塁手(1年)の中越え適時打で完結させた。

 勝負は下駄を履くまで分からない。ナインがダイヤモンドで体現した。9回表に致命的な3失点。満塁弾が出ても追いつけない決定的な5点差を付けられながら、土壇場に追い詰められた直後の攻撃で一気に6点を奪う奇跡を起こした。

 「森下監督にはベンチで“最後まで諦めるな。いつかそういう時が来るから”と何度も言われていました。終わってみると監督の言葉は凄い。野球人生でこんなことはありません」

 興奮を必死に抑えながら言葉を並べたリーダー有海の一打で、勝利を確信した。7番・加藤優弥二塁手(1年)の右前適時打と押し出し死球で3点差。満塁とし、投手の代わりっぱな内角低めの直球に体が反応した。火の出るような弾丸ライナーは、左翼手の頭上を越える起死回生の走者一掃同点三塁打。「1本出したい。思い切って打ちました」とベンチに向かって右手を突き刺すと、続くリードオフマン名古も「外野フライで1点が入る。ヒットなら100点。50点のバッティングをしよう」と犠牲フライを意識した打球を中越えまで運び、結果的に適時打で筋書きのないドラマを完結させた。

 選手、監督で選抜日本一を知り、常葉菊川(現常葉大菊川)時代には「フルスイング」の言葉を全国に知らしめた森下知幸監督(61)が、新チームについて「力がないから」とつなぎを徹底する意味で中軸にもバントを多用。打撃自体も低く強い打球を意識付けしてきた。8回まで散発4安打無得点に封じ込められても、辛抱強く食らいつき続けたことで光が差した。

 1イニングの最大逆転劇で記憶に新しいのは14年夏、星稜が小松大谷との石川大会決勝で9回に8点差をひっくり返しサヨナラで甲子園出場を決めた一戦だ。まさに似たような展開に「(過去の経験で)こんなのはない。わからんもんだよね」と指揮官。打った感触に加え「同点になった際の歓声は忘れません」と有海が胸を張った。勢いと自信。ナインの得たものは大きい。(小澤 秀人)

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2022年9月12日のニュース