ラグビー日本代表、NZ相手に過去最少7点差惜敗 “惨劇”知る指揮官 選手持ち味発揮「誇り」

[ 2022年10月30日 04:40 ]

ラグビーリポビタンDチャレンジカップ2022   日本31―38ニュージーランド ( 2022年10月29日    東京・国立競技場 )

<日本・NZ>後半、ゴール前まで攻め込まれるがNZの反則を誘いガッツポーズする姫野(撮影・篠原 岳夫)
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 世界ランキング10位の日本が「リポビタンDチャレンジカップ2022」で同4位のニュージーランド(NZ)と対戦し、31―38で惜敗した。改築後の国立最多となる6万5188人の観客が集まった一戦。W杯最多タイ3度の優勝を誇るオールブラックスからの大金星を逃し、対戦成績は7戦全敗となったが、7点差は最少得点差。着実に力の差が縮まったことを証明し、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、52)も手応えを口にした。今後は11月の欧州遠征でイングランド(12日)、フランス(20日)と対戦する。

 秋晴れの空の下、紅白の段柄ジャージーが漆黒の軍団を追い詰めた。後半39分に4点差まで追い上げ、6万5000超に膨れ上がった満員の国立を沸かせた。最後にPGを許して7点差でノーサイドとなったが、ジョセフHCは「選手たちを誇りに思う。自信をつけることができた」と充実ぶりを漂わせた。

 桜の戦士それぞれの持ち味が発揮された。司令塔のSO山沢は3―21で迎えた前半37分、敵陣右22メートルライン付近からボールを右足で蹴ってインゴールへ。中学までのサッカー経験を生かしてトライを奪い「ドリブルがうまくいった」と“足技”が光った。

 ロックで2メートル1と長身のディアンズは後半16分、キックチャージに成功し、そのまま約40メートル独走で代表初トライ。姫野は17―28の後半14分、自陣ゴール手前まで攻め込まれた密集で“代名詞”ジャッカルを披露した。

 NZ戦は大きな壁だった。95年の南アフリカ大会で21トライを奪われ17―145で大敗。「ブルームフォンテーンの惨劇」という苦い歴史として刻まれ、テストマッチでも大きな力の差を見せつけられていた。今回の7点差は同戦における最少。ジョセフHCは「歴史に名を刻むような試合だった」と認めた。

 目標や意識を統一するため、チームが目指したのは「セイムページ(同じ絵を見る)」。今秋の合宿では室内練習場に「絆」「導く」「勇気」と書かれた垂れ幕が掛けられた。「練習でもきつい時、しんどい時がある。そういう時に全員で立ち上がって一つになるため」とフッカー坂手主将。外国出身選手にも理解しやすい言葉でチームに浸透させた。

 19年W杯戦士と新戦力の融合がジョセフジャパンを進化させている。SH流は今夏に代表デビューしたばかりのSO李承信をランチに連れて行き、ハーフ団として桜イズムを注入。この日が初キャップとなったフランカー下川は、同ポジションのリーチから体調管理法や技術を教わり「吸収できることが多い」と感謝した。

 近いようで遠い大金星。あと一歩の差を埋める日々は続くが、リーチは言った。「惜しい。でも、チームとしてはかなり良い方向に進んでいる」。ラグビー王国との差は確かに縮まっている。

 ▽ブルームフォンテーンの惨劇 95年W杯南アフリカ大会で、1次リーグC組でニュージーランド、アイルランド、ウェールズと同組に。連敗で迎えた6月4日、ニュージーランド戦に挑むも21トライを奪われ、17―145で大敗。145失点はW杯史上最多記録で、128点差は2位の記録として現在も残る。現日本代表のジェイミーHCはニュージーランド代表としてプレーしていた。

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