砂村光信氏 NZ戦は日本若手育成へ勇気ある途中交代

[ 2022年10月30日 04:40 ]

ラグビーリポビタンDチャレンジカップ2022   日本31―38ニュージーランド ( 2022年10月29日    東京・国立競技場 )

<日本・NZ>前半、山沢がトライを決める(撮影・篠原 岳夫)
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 W杯制覇3度など世界のラグビー界をリードし続けてきたニュージーランド代表オールブラックスを、日本代表が7点差まで追い詰めた。元同国代表FBで、日本ラグビーを熟知するリーグワン埼玉のロビー・ディーンズ監督と、元U―23日本代表監督の砂村光信氏(本紙評論家)が善戦の要因とW杯への期待度を分析した。

 キックもゲームメークも良かったSO山沢を後半9分で李と代えた決断に驚かされた。山沢は守備の場面で後ろに下がらずラインに入り、前へ出て止められる選手。両CTBと合わせた3人のディフェンスが善戦の一因だったので、交代はかなり勇気がいる。これまた良かったリーチをフル出場させずに下川に代えた点を見ても、ジョセフ・ヘッドコーチがW杯へ向けた若手の育成も急務と感じていることがうかがえる。

 前半の日本はタックルの回数で大きくニュージーランドを上回っただけでなく、成功率も75%と高かった。運動量世界トップの相手をフィットネスで上回った証明で、ミス絡みとはいえ前半終盤のチャンスに2トライを取り切ったことで接戦に持ち込めた。ミッチェル・コーチが整備した組織ディフェンスも機能しており、モールやゴール前の守りはよく前へ出て止めていた。

 ただ、後半は反則が多く、ニュージーランドが速くボールを動かし始めるとディフェンスが追いつけなくなった。オフロードで裏へ出られた時にもう1、2歩速いカバーディフェンスが求められる。また、レタリックが退場した後のモールの場面では、もっと押して勝負してほしかった。

 選手で一番の収穫はディアンズだ。春のテストマッチでは当たり負けしていたが、この日は激しく前に出られていた。キックチャージにも欠かさず行っており、トライのシーンでは終盤にもかかわらずあれだけのスピードで走れていた。選手層が最も薄いロックのレギュラーとしてめどが立ったように思える。(元U―23日本代表監督)

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2022年10月30日のニュース