萌寧が賞金女王!「泣くつもりなかったけど…」コーチ見て涙、古江とのデッドヒート制した

[ 2021年11月29日 05:30 ]

女子ゴルフツアー ツアー選手権リコー杯最終日 ( 2021年11月28日    宮崎県 宮崎CC=6543ヤード、パー72 )

賞金女王に輝いた稲見は花束を手に笑顔を見せる(撮影・西尾 大助)
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 賞金ランキング1位の稲見萌寧(22=都築電気)が73で回り、通算イーブンパーの9位に入り初の賞金女王に輝いた。22歳122日でのタイトル獲得は史上2番目の年少記録。コロナ下で20年シーズンと統合された今季は9勝を挙げ、獲得賞金は史上最高の2億5519万2049円となった。賞金ランキング2位の古江彩佳(21=富士通)は通算6アンダーの3位。三ケ島かな(25=ランテック)が通算11アンダーでツアー初優勝を飾った。

 クラブハウスのモニターで、古江のホールアウトを見守っていた稲見の顔に笑みが浮かんだ。奥嶋誠昭コーチ(41)が泣きながら「賞金女王おめでとう」と祝福の言葉を掛けると、22歳の女王の瞳から涙がこぼれた。

 「賞金女王を獲れたのはうれしいけど、一番はやりきった感。試合数が多かったので達成感、疲労感が大きい。泣くつもりはなかったけど、先に泣かれてもらい泣きしちゃった」。稲見は晴れやかな表情でそう話した。

 単独2位で出た古江がそのままの順位なら単独13位以内が女王の条件。後半は順位を確認しながら回った。13番のボギーで17位に後退したが、17番で1.5メートルにつけて取り返し圏内の12位に浮上。今季25回目のトップ10で締めた。

 9月の日本女子プロを制し賞金ランク1位に立って女王を意識した。しかし10月に腰痛を発症。マスターズGCレディースで痛みが悪化し最終日を棄権。父・了さんらと話し合い「賞金女王は諦めよう」と決めた。その後、全国3カ所の病院で診察を受け、全治4カ月と診断されたが、腰の専門医から「薬で痛みをコントロールしながらプレーできる」とお墨付きを得て2週後に復帰。痛みがひどかったTOTOジャパンクラシックでは医師に「爪先立ちして力が入れば大丈夫」と助言を受けてプレーした。

 国内ツアーで8勝し、東京五輪で銀メダルを獲得した21年。主役を演じた稲見は「五輪でメダルを獲れて、メジャー優勝できて、複数優勝もできて、賞金女王も獲れたので100点だと思う」と満足感に浸りながら「もっともっと最強なプロゴルファーを目指したい」と貪欲に語った。究極の目標はツアー通算30勝で得られる永久シード。会見場の去り際に「重圧をかけてくれてありがとうございました。来年もかけ続けてください」と報道陣にあいさつしたその強さがある限り、稲見の年は続くかもしれない。

 ≪22歳122日は年少2位≫稲見は22歳122日で賞金女王。07年上田桃子の21歳156日に次ぐ史上2位の年少記録となった。獲得賞金2億5519万2049円は史上最高額(45試合)。試合数は異なるが、従来の記録は15年イ・ボミの2億3049万7057円(32試合)だった。また、稲見は昨年終了時に当時1位の笹生に6561万7954円差をつけられており、4389万7868円差をひっくり返した09年横峯さくらを上回る史上最大の逆転劇ともなった。

 ◇稲見 萌寧(いなみ・もね)1999年(平11)7月29日生まれ、東京都豊島区出身の22歳。9歳でゴルフを始める。18年プロテストに合格し、19年センチュリー21レディースでプロ初優勝。今年8月の東京五輪では銀メダルを獲得した。師匠は奥嶋誠昭氏。日本ウェルネススポーツ大在学中。1メートル66、58キロ。血液型A。

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