【荒磯親方 真眼】遠藤の見事な「照ノ富士攻略法」右の差し手で抱え込み封じた

[ 2021年5月23日 05:30 ]

大相撲夏場所14日目 ( 2021年5月22日    両国国技館 )

遠藤(左)に下手投げで敗れた照ノ富士(撮影・佐久間 琴子)
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 3日前の当欄で相手の良さを消す遠藤の「うまさ」を強調しましたが、その真骨頂を照ノ富士戦で発揮しました。差し身の上手な力士らが何度もわなにはまった照ノ富士の抱え込み。それを封じ込んでの勝利は、お見事としか言いようがありません。

 注目ポイントは右の差し手です。低く鋭い当たりから深く差して、かいなを返した。あの体勢では左の抱え込みも威力は半減。もろ差しになって巨体を横にさせて畳みかけた内容は、これぞ照ノ富士攻略のお手本。「うまくやられた~」と大関も痛感しているはずです。遠藤は幕内中位の番付なら2桁勝つのは当然ですが、いいころの相撲を取り戻している印象です。

 照ノ富士も完全な負けパターンの展開を際どい勝負に持ち込んだのはさすがでした。とはいえ、2差から1差に詰められたことがどう精神状態に影響するか。膝の状態を考えれば決定戦は避けたい。先場所同様に本割の貴景勝戦に集中することだけを考えているでしょう。圧力をかけながら右を差して出ていく。大一番だからこそ基本に忠実になることが必要です。(元横綱・稀勢の里)

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2021年5月23日のニュース