歩夢、スケボーで夏も五輪確実 予選落ちもランク最上位で日本人5人目快挙へ

[ 2021年5月23日 05:30 ]

スケートボード デュー・ツアー第2日 ( 2021年5月21日    米アイオワ州デモイン )

パークの男子予選で演技する平野歩夢
Photo By 共同

 五輪予選最終戦となったパーク男子は、スノーボード・ハーフパイプの冬季五輪2大会連続銀メダルの平野歩夢(22=木下グループ)が26位で予選敗退したものの、五輪予選ランキング日本勢最上位となって東京五輪出場を確実にした。夏冬両五輪出場は日本人選手5人目。平野はランキングでも出場圏内で、今大会終了後に圏外に落ちても開催国枠で出場できる。パーク女子準決勝は予選ランク1位の岡本碧優(14=MKグループ)が1位で決勝に進出した。

 1カ月前まで雪上を滑っていた平野歩が、夏の切符を手にした。18年秋、スケートボード挑戦を宣言してから約2年半。メダリストとして初の両五輪出場という「自分にしかたどれない道」を実現した。

 2回目の演技では1回目に失敗した1回転半の空中技「バックサイド540」を成功させたものの、無難な構成に終始した。演技後は予選突破を逃す64・08点のスコアに苦笑いで首をひねったが、19年の予選大会から積み上げた日本勢トップの座は守った。

 幼少期から両競技に取り組んできたが、技に共通点はあっても「全然別物」だった。スノーボードの若手の台頭を前に「どっちも中途半端になる可能性だってある」と危機感を口にしたこともある。さらに、東京五輪の延期で、北京までの期間が半年となったことで、道のりはより困難になった。それでも挑戦を諦めなかったのは、「何かを失ってでも得ようとする精神的な強さから生まれるもの」を求めたからだ。

 今年2月には18年平昌五輪以来となるスノーボードの大会に出場し、4月の全日本選手権では2位に入った。北京出場の目標を公言する平野歩にとって、東京はゴールではない。「夢を与えたり影響力のある立場にいたい」。壁は高ければ高いほど燃える。

 ◆平野 歩夢(ひらの・あゆむ)1998年(平10)11月29日生まれ、新潟県村上市出身の22歳。兄・英樹さんの影響で4歳からスケートボードとスノーボードを始める。新潟県開志国際高―日大。14年ソチ五輪スノーボードのハーフパイプで冬季五輪の日本人最年少表彰台の銀メダル、18年平昌も五輪連続銀メダル。冬季Xゲームでは16、18年に優勝した。1メートル65。

 《橋本聖子氏は計7回出場》夏冬両五輪出場は極めて難しく、日本男子では陸上で92年バルセロナ大会入賞の青戸慎司がボブスレーで98年長野大会に出場したのが唯一。スピードスケート女子は橋本聖子や大菅小百合らがトレーニングで利用する自転車にも才能を見いだし、橋本が冬4回夏3回、大菅は冬2回夏1回、関ナツエは冬夏各1回出場。なお、橋本は冬2回、夏1回出場後の92年にスピードスケート1500メートルで銅メダルを獲得しており、既に銀メダルを2度獲得した平野は、メダリストとして初めて両五輪出場を果たすことになる。

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