羽生 男子初の完全6冠!緑のSEIMEIで四大陸初制覇「ホッとしたのが一番です」

[ 2020年2月10日 05:30 ]

フィギュアスケート四大陸選手権最終日 ( 2020年2月9日    韓国・ソウル )

男子フリー、演技をする羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(25=ANA)が全体トップの187・60点をマークし、合計299・42点で初優勝を飾った。18年平昌五輪以来となる「SE1ME1」で、ジュニア、シニアの主要国際大会を完全制覇する“スーパースラム”を男子で初めて達成。3月16日開幕の世界選手権(カナダ・モントリオール)で、超大技4回転半を入れた究極のフリーを完成させる。

 「SEIMEI」のサウンドとともに、未到の領域に足を踏み入れた。緑を加えた新衣装をまとった羽生は演技直後、苦笑いを浮かべた。ジャンプにミスが相次ぎ、得点は自己記録212・99点に20点以上も及ばなかった。だが、唯一、忘れていたタイトルを手中に収め、男子初の“スーパースラム”を成し遂げた王者は、穏やかな表情に戻った。

 「フリーのことを忘れて、SPが良かった。(世界新記録の)SPがあった上でのスーパースラムだと思う。総合的に、とりあえず、良かったなということですかね(笑い)。あとは、ホッとしたのが一番です」

 ハプニングがあった。演技開始直前に踏み切り位置近くの氷がえぐれ、下にあるコンクリートが見えていた。羽生は手を挙げて審判団に訴え、突貫の整氷作業。「気が散った状態」ながら冒頭の4回転ルッツをこらえて降りたものの、後半の4回転トーループで転倒するなど影響がなかったわけではない。連続ステップでも最高レベルの「4」にはならなかった。それでも「いい経験」と笑った。

 18年2月17日、五輪連覇の金字塔を打ち立てた平昌五輪から722日。再び韓国で滑った伝説プログラムで呪縛から解放された。不完全燃焼だった19年が終わり、新年は過去の名プログラムたちを滑り込んだ。スケートを楽しんでいた、かつての感覚が体中に戻った。「凄くスケートに力をもらっていた」。演目変更を決断し、1年半も滑り込んだ「秋によせて」と「Origin」に決別。次なるステージへ歩を進め「(2曲に)ありがとうと言いたい。“彼ら”にいろんなことを学んだ」と言った。

 目指すのは、音楽とジャンプの融合だ。「ゴールは明確にある。(4回転)アクセルを入れて(SPの)バラ1みたいなものをフリーでつくりたい」。最大のライバル、チェン(米国)との再戦となる3月の世界選手権へ、人類未到の大技4回転半の完成も進める。究極の「SEIMEI」完成へ、残り1カ月。「立ちはだかる壁は高い」としながらも「トライはしたい」と言い切った。道を進んだ先に、さらなる栄光が待っている。

 ▽スーパースラム 国際スケート連盟が主管するシニアの五輪、世界選手権、GPファイナル、各大陸選手権(四大陸選手権または欧州選手権)とジュニアの世界選手権、GPファイナルの合計6冠の完全制覇。国際オリンピック委員会(1OC)のインターネットテレビ「五輪チャンネル」が名付けた。女子では金妍児(キムヨナ)(韓国)とアリーナ・ザギトワ(ロシア)が達成しているが、男子では羽生が初めて。

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