飛び込み 13歳玉井、日本男子最年少五輪へ王手!逆転1位で4月W杯切符

[ 2020年2月10日 05:30 ]

飛び込み国際大会 派遣選手選考会最終日 ( 2020年2月9日    東京・辰巳国際水泳場 )

1位が決まり祝福され笑顔を見せる玉井(撮影・会津 智海)
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 東京五輪出場が懸かるW杯東京大会(4月21~26日、東京アクアティクスセンター)の出場権を懸けて行われ、男子高飛び込み決勝で玉井陸斗(13=JSS宝塚)は458・05点で1位となった。W杯で18位以内に入れば、日本男子史上最年少の五輪出場が確実となる。女子板飛び込み決勝は金戸凜(16=セントラルスポーツ)が273・80点の4位に終わり、東京五輪出場が絶望的となった。

 美技で締めた。東京五輪への一歩となる選考会。玉井は最終6本目の5255B(後ろ宙返り2回半ひねりえび型)を水しぶきをほぼ立てないノースプラッシュで決めた。決勝全演技72本中で最高得点の91・80を記録。最終演技者を残してトップを確信し「ヒヤヒヤしたけどW杯切符を手に入れることができてうれしい。最後のジャンプは入水も完璧でした。達成感がある」と拳を握った。

 出遅れた。苦手の2本目207C(後ろ宙返り3回半抱え型)で入水に失敗。演技直前に横のプールで開催中の競泳記録会の笛の音が気になり一瞬、飛ぶのを躊躇(ちゅうちょ)したことがミスにつながった。一時トップに15点近い差をつけられたが、3本目以降をまとめて5本目終了時点で首位。結果的に2位に23・75点差をつける快勝だった。

 今大会は2本目を従来の207B(後ろ宙返り3回半えび型)から抱え型に変えるなど、演目の難易率を下げた。安定した演技で確実にW杯切符を得ることに加え、五輪本番までに体が大きくなり、回転力が落ちた場合の選択肢を増やす狙いや、体の負担を減らすケガ予防の意味合いもある。並の選手なら成功率は上がるが、スピード、回転力が抜群の玉井は体を止めることに苦心。回転し過ぎるミスをなくすため、肩の柔軟運動を控えるなど独自の調整を進めてきた。

 13歳とは思えないほど意識は高い。体重が増え過ぎないように炭水化物を減らすなど食事を調整。空腹対策として午後9時に就寝する。1月の中国・広州近郊での合宿中には、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めたため、武漢から約830キロ離れていたが、外出は極力控えた。W杯に向けた合宿も常用する広州を避ける方針だ。

 この日マークした458・05点は昨夏の世界選手権9位相当だが、伸びしろは多い。玉井は「W杯では欲張らず自分のできることをしたい。やることをやれば五輪はついてくる」と力を込めた。チャームポイントはシックスパックの腹筋と、つぶらな瞳。その視線の先には日本男子の夏季五輪最年少出場だけでなく、メダルがある。

 ▼玉井陸斗(たまい・りくと)
 ☆生年月日 2006年(平18)9月11日生まれ。

 ☆出身 兵庫県宝塚市。昨年4月から市立高司中に通う。

 ☆競技歴 小学1年から。3歳から通っていたスイミングスクールの隣のプールで開催されていた飛び込み教室を体験したことがきっかけ。シニアデビュー戦の昨年4月日本室内選手権で優勝したが年齢制限で世界選手権代表になれなかった。昨年9月の日本選手権も制覇。

 ☆飛び込み一筋 ケガ防止のため自転車に乗らず、体育の授業の球技は見学。最近は趣味のゲームもせずに練習に打ち込む。

 ☆好きな食べ物 焼き肉。特に牛タン。

 ☆サイズ 1メートル47、41.5キロ。

 ▽男子高飛び込み決勝(1)玉井陸斗(JSS宝塚)458・05点(2)西田玲雄(近大/大阪水泳学校)434・30点(3)村上和基(三重県体協)410・25点

 ▽東京五輪への道 五輪出場枠は個人種目2、シンクロ種目1。4月のW杯東京大会で、個人は準決勝進出の18位以内で五輪代表に内定する。開催国枠のあるシンクロは12位以内が目安となるが、成績から総合的に判断するため、惨敗しなければ五輪出場が決まる可能性が高い。

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