20キロ競歩で山西が金!京大卒“IQウォーカー”が東京五輪内定

[ 2019年10月6日 05:30 ]

陸上世界選手権第8日 ( 2019年10月4日    ドーハ・ハリファ国際競技場 )

7キロすぎに後続を突き放しにかかる山西(撮影・小海途 良幹)
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 男子20キロ競歩は京大工学部卒の“IQウオーカー”山西利和(23=愛知製鋼)が1時間26分34秒で同種目では日本勢初の金メダルに輝き、東京五輪代表に内定した。男子50キロに続く日本勢のVで東京もダブル金メダルが現実味を帯びてきた。男子400メートルリレー予選の日本は日本歴代3位となる37秒78の2組2位で予選通過。5日の第9日に行われた女子100メートル障害予選では5大会ぶり2度目の出場となった日本記録保持者・寺田明日香(29=パソナグループ)、2大会連続出場の木村文子(31=エディオン)はともに予選敗退となった。

 メガネの奥から鋭く光る目が東京五輪出場を確信した。7キロすぎにトップに立ってからは独り旅。男子50キロを制した鈴木雄介(31=富士通)に匹敵する独歩劇で金メダルを勝ち取ったが、試験で満点を取り損ねたような表情を浮かべた。

 「うれしい気持ちとホッとする気持ちと、やりきれない感じですね」

 ラスト3キロで一段階上げるという理想のレースとは程遠かったこともあり、自己採点は辛口。代表に満点合格とはいかなかった。

 今夏、北海道千歳市などで男子50キロの鈴木と合同トレーニングを行った。世界一の歩型と称される鈴木と一緒に練習することで「一緒に歩くと自分の課題が浮き彫りになった」。最高のお手本を参考にフォームの修正を続けた。メンタルもそう。序盤からの飛び出しなど、鈴木の貪欲に勝利を追い求める姿勢を目の当たりにして「自分は無難なところを攻めがちなので、一緒にやることで刺激になる」と黄金の精神も受け継いだ。

 昨春、京大工学部を卒業して愛知製鋼に入社した。大学時代は“京大生ウオーカー”としてメディアに取り上げられる機会も多く、日本代表となってから注目度は急上昇。入社後には鈴木や16年リオデジャネイロ五輪男子50キロ競歩銅メダリストの荒井広宙(富士通)らを育てた内田隆幸氏から「まずは人間力」を鍛えられた。「周囲への感謝」「謙虚さ」など社会人としてのいろはを教え込まれたという。「半ばプロに近い形で会社の名前を借りてやらせてもらっている。自覚は芽生えてきた」と心境も変化。環境に流されずに、コツコツと積み上げた先に悲願の金メダルがあった。

 京大出身のオリンピアンとして再び注目を浴びる存在になるが、36年ベルリン五輪男子三段跳び金メダルのOB田島直人を引き合いに「僕は二番煎じなんで」と対処法も心得ている。「もう一度、圧倒的な勝利をするためにチャレンジする」。今度は満点レースで金メダルの回答を引き出す。

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2019年10月6日のニュース