日本は“世界一休まない” V7神鋼の名FWが指摘するジョセフJ躍進の秘密

[ 2019年10月6日 09:00 ]

ラグビーW杯2019 1次リーグA組   日本38-19サモア ( 2019年10月5日    豊田ス )

<日本・サモア>サモアに勝利し、笑顔のジョセフHC(中央)=撮影・吉田剛
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 日本代表がサモアを破り、1次リーグ3連勝を果たした。ハードトレで培われた「世界一休まないラグビー」が躍進の原動力。神戸製鋼V7の名FWとして知られ、現在、国際統括団体ワールドラグビーで競技大会&パフォーマンス統括責任者を務めるマーク・イーガンさん(53)は、平均を大きく上回る「ボールインプレー」の長さを指摘した。 試合結果

 限りなく理想に近づいていることが、躍進につながっている。マーク・イーガンさんによると、日本代表の「ボールインプレー」は、1、2戦の平均が「39分35秒」だという。

 「ボールインプレー」は、実際にボールが動いていた時間で、セットプレーや反則が多いと短くなる。18試合終了時点で、全チームの平均は「35分58秒」。日本がいかに“休まないラグビー”をしているかが分かる。実際、この日も後半にギアを上げた日本に対し、サモアの選手は足をつるなどフィットネスの差が勝敗を分けた。初の8強のために、ジョセフHCは「ボールインプレー40分」を掲げ、強化に取り組んできた。スタミナが消耗しやすい高温多湿の気候の中でもバテない体をつくるためだ。

(「心拍数」をチェック/) 目を付けたのが心拍数。昨年から、練習中に小型の最新機器を身に着ける。肉体強化を担当する太田千尋コーチは「走行距離が多いけど余裕がある選手、心拍数が高くて追い込んでいるはずなのに、スピードや走行距離が出ていない選手。原因を探って個人に合った強化ができる」と、各選手のメニューづくりに役立ててきた。

 指揮官は、重圧がかかるW杯を想定し、「疲労の中で適切な判断をすること、ミスをしないこと」を練習で求めた。7月の宮崎合宿では、40分間ぶっ通しの実戦形式を導入。それぞれが自分を追い込めているか、心拍数が物差しになった。猛練習で有名だった15年のエディー・ジャパンを経験したフランカー・リーチ主将、SH田中でさえ「かなりキツイ」と悲鳴を上げるほどだった。

(地獄の合宿乗り越え/) 8月の網走合宿では、人工的に標高3000メートル以上の酸素が薄い状態を作れる「低酸素ハウス」を設置。マラソンの高地トレのような環境でのトレーニングを繰り返した。

 心拍数は疲労度チェックにも使われ、選手は毎朝計測。専用アプリに記入し、スタッフに報告した。

 ジョセフHCは「本当に誇りに思っている。フィジカルの強い相手に最後まで強く戦えた。一番フォーカスしたのは勝つことだが、ボーナス点も取れて良かった」と選手の奮闘を称えた。

 厳しい合宿を乗り越え、サモア戦でも走り勝ったジャパン。体のスタミナも、心のスタミナも、世界に通用している。

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